上海市へビジネス環境改善の建議書を提出

(中国)

上海発

2023年12月25日

ジェトロと在上海日本総領事館、上海日本商工クラブは12月19日、中国・上海進出日系企業の提言や要望事項をまとめた「上海市のビジネス環境改善に向けた2023年建議書」(以下、建議書)を上海市商務委員会に共同で提出した。上海市政府への建議・要望活動は、2013年に「中国(上海)自由貿易試験区」に対する建議書を提出して以来、10回目となった。

2023年の建議書は、上海日本商工クラブの会員企業である日系企業約2,300社(2023年12月時点)の意見をまとめたもの。全部で63項目となり、業種を超えて特に多くの意見が寄せられた8項目を「重点項目」としてとりまとめた。

具体的には、(1)ビザ免除の回復などの渡航の容易化、安全な渡航の確保(2023年11月29日記事参照)、(2)政府調達への参入手続きにおける公平性の確保、(3)規制にあたっての猶予期間や関連日系企業とのコミュニケーションの確保、(4)データ関連法令に係る外国企業の意見への配慮や、解釈の明確化・対応期間の確保、(5)現場における人手不足への対応、(6)安定した電力供給の確保、(7)(日本の)震災後の農産物輸入の再開、(8)農産物輸入規制の緩和となる。建議書の全文は後日、上海日本商工クラブのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて公開予定だ。

上海市政府は2020年から建議書の全ての項目に書面で回答するとともに、外資系企業を担当する副市長が円卓会議や分野別の分科会を開催するなど、日系企業のビジネス環境改善に積極的に取り組んできた。建議書を受け取った上海市商務委員会の諸旖副主任は「各建議項目について速やかに関係部局に伝え、全力を尽くして日系企業が直面する課題を解決していく」と述べた。上海市政府は質の高い発展と外資系企業の新規投資を求めており、ビジネス環境整備に向け、さらなる対応が期待される。

(陸姿音)

(中国)

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