中銀、政策金利を16%に引き上げ、金融引き締め長期化を示唆

(ロシア)

調査部欧州課

2023年12月25日

ロシア中央銀行は12月15日に行われた金融政策決定会合で、主要政策金利(キーレート)を15.0%から16.0%とすることを決定した。18日から適用した(添付資料図参照)。前月に続き、中銀が予想した水準を上回る物価上昇圧力の高まりから、2024年末までに目標の4%に向けてインフレ率を抑制するのが狙い。

中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁は12月15日の記者会見で、月次のコアインフレ率が上昇しており、現在は年率で10%を超えていると指摘した。高まるインフレ圧力の要因として、家計や企業の高いインフレ期待を背景にした内需の拡大や、生産の供給力不足と労働市場の深刻な人手不足を挙げた。また、金融機関による住宅ローンなどの個人向け融資の急増による個人消費の拡大もインフレ圧力の理由だと説明した。

ナビウリナ総裁は、世界経済の減速がロシアの輸出収入を一時的に悪化させる可能性があるが、OPECプラス(注)の減産合意(2023年10月5日記事参照)は原油価格を下支えするという見方を明らかにした。

金融政策の見通しについて、中銀は2024年末までにインフレ率を目標の4%の水準で安定させるため、金融引き締めを長期で維持する可能性を示唆した。2023年のインフレ率見通しは10月時点と同じ7.0~7.5%に据え置いた。

次の理事会は2024年2月16日に予定されている。

(注)サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などOPEC加盟国と、ロシア、メキシコなど非加盟の産油国で構成する。

(小野塚信)

(ロシア)

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