スナク首相、COP28に参加し新たな資金拠出を発表、野党党首も参加

(英国、世界)

ロンドン発

2023年12月04日

英国のリシ・スナク首相は12月1日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28、2023年12月1日記事参照)にデービッド・キャメロン外務・英連邦・開発相とともに出席した。

スナク首相は演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、再生可能エネルギー(再エネ)、グリーンイノベーション、森林保護に対して、新たに総額16億ポンド(約2,976億円、1ポンド=約186円)を拠出することを発表した。具体的には、森林伐採への対応や持続可能な森林・土地管理への投資拡大に向け最大5億ポンド、各国の再エネ移行の促進支援に向け3億1,600万ポンドを拠出するとしている。また、政府系開発金融ブリティッシュ・インターナショナル・インベストメント(BII)を通じ、アジア、アフリカの気候変動対応プロジェクトに対し4,400万ポンドを投じるほか、11月30日にCOP28で採択された損失と損害(ロス&ダメージ)に対応する新基金への4,000万ポンドを含め、損失と損害への対応に計6,000万ポンドを拠出する。

写真 COP28の首脳級会合で演説するスナク首相(ジェトロ撮影)

COP28の首脳級会合で演説するスナク首相(ジェトロ撮影)

そのほか、演説ではネットゼロ達成に向けた計画の見直し(2023年9月22日記事参照)に触れ、気候変動対応への国民の支持の重要性を主張した一方、11月29日に発表した英国内の新規の景観回復プロジェクトや新たな国立公園の選定などの実施に触れた。さらに、ドイツのRWEとUAEのマスダールによる、英国北東沖の洋上風力開発プロジェクト「ドッガーバンクサウス」に対する110億ポンド規模の投資コミットメントを含むパートナーシップ締結も発表した。

このほか、スナク首相は中東各国の首脳とも会談。イスラエル情勢について議論した(2023年12月4日記事参照)。

COP28の開会にあたってはチャールズ国王も演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。われわれの世界を持続するための決定を採用するため、参加者に対し次の点などにつき検討を促したいとした。

  • 官民、慈善団体、NGOなどさまざまな機関の連携
  • 持続可能な未来に最も不可欠な開発への資金の確実な動員
  • 再エネ・クリーン技術などの導入やイノベーションの加速
  • 分野・国家・産業横断的かつ長期的で一貫したアプローチに向けた異なる技術やイニシアチブの導入
  • 今後に向けた野心的かつ新たな目標の策定

労働党のキア・スターマー党首もCOP28に参加した。同氏は今回の参加につき自身のX(旧ツイッター)で、次回総選挙で労働党が勝利した場合に、国際社会の場で英国のネットゼロ目標達成に向けた役割を同党が担うという意思表明だとしたほか、クリーンエネルギー導入というミッションを各国首脳や企業、投資家に対して示すためともしている。同氏は12月1日に、ヨルダンのアブドゥッラー2世国王と会談している。

(山田恭之)

(英国、世界)

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