在EU日系企業の半数以上が事業を今後拡大、英国は現状維持が多数
(欧州、日本)
調査部欧州課
2023年12月26日
ジェトロが12月26日に公表した「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2023年12月26日記事参照)によると、今後1~2年間の事業展開の方向性について、在欧日系企業の51.6%が事業を「拡大」すると回答した。前年調査比では5.4ポイント増で、同割合は2015年度調査以降で最大となった。拡大する理由としては、「現地市場ニーズの拡大」(57.7%)と「輸出の増加」(30.9%)が上位に挙がった。国・地域別でみると、在EU企業では「拡大」と回答した企業が52.0%で5割を超えた一方、英国は「現状維持」が53.1%と最も多く、「拡大」の43.9%を上回った。中・東欧では、「現地市場ニーズの拡大」や「輸出の増加」などを理由に、セルビアとスロバキアで「拡大」と回答した日系企業が8割を超えた。「生産拠点の立ち上げ」や「新製品の立ち上げ」などが自由記述で具体的な理由として挙がった。
今後拡大する具体的な機能について聞いたところ(複数回答可)、欧州全体では「販売機能」(283社)、「新規事業開発」(120社)、「高付加価値品の生産」(108社)が上位となった。業種別にみると、製造業では「販売機能」(123社)に次いで、「高付加価値品の生産」(84社)と回答した企業が多く、「新規事業開発」(43社)は3位だった。非製造業では「販売機能」(160社)、「新規事業開発」(77社)、「カスタマーサービス」(52社)が上位だった。
拡大する機能について国別に企業の回答割合をみると、「販売機能」はスウェーデン(100%)、オーストリア(85.7%)、ドイツ(78.7%)とEU加盟国が上位を占めたが、「新規事業開発」では、チェコが52.6%で西欧諸国を大きく上回って欧州1位となり、フランスが45.5%で続いた。「高付加価値品の生産」は、デンマーク(60%)、ハンガリー(54.5%)、ポーランド(42.9%)、「カスタマーサービス」はオーストリア(42.9%)、ルーマニア(33.3%)、スペイン(30.8%)が上位となった。
調査結果の詳細は、ジェトロ調査レポート「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」を参照。
(岩田薫)
(欧州、日本)
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