ウクライナ復興支援・ビジネス活動への関心、在欧日系企業の半数に

(欧州、ウクライナ)

調査部欧州課

2023年12月26日

ジェトロが12月26日に公表した「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2023年12月26日記事参照)で、「今後のウクライナにおける復興支援あるいはビジネス活動に関する関心の有無」を尋ねたところ、調査を実施した在欧日系企業の48.3%が「関心がある」と回答。所在地域、業種区分別では、在中・東欧の非製造業で関心がある企業が58.5%に上った。国別では、在ルーマニア日系企業の同割合が70.6%と最も高かった。

復興支援やビジネス活動の関心分野としては、道路や鉄道など物流網の再整備や、住宅・ビル再建を含むインフラ支援を挙げる企業が多くみられた。自由記述で回答を寄せた194社のうち、延べ72社がインフラ全般や道路・物流、住宅・ビル・建設への関心を示した。ウクライナとの既存商流の回復にも期待する声が上がった。製造業では「復興に必要な建設機械などの部品サポート」(ゴム製品メーカー)といった建設・工作機械用をはじめとする各種部品の供給、非製造業では「復興支援事業に関連する各種保険」(金融業)や、廃棄物処理(建設・プラント・エンジニアリング業)など、各社の専門領域を生かした多角的な支援が検討されている。

同調査では、ウクライナ復興支援やビジネス活動を進めるに当たっての課題やボトルネックなどについても自由記述で聞いた。「実際のウクライナの状況が把握しにくい」「情報が入ってこない」など情報の不足や、将来のビジネス活動を視野に「企業進出情報や投資情報」といった情報ニーズを挙げた回答が3割を超えた。事態の先行きが不透明な中、安全面やリスク管理への不安を挙げた企業も約4分の1に達した。

将来有望な販売先としてウクライナに注目する企業も

「将来の有望な販売先として見ている国」として、回答企業の9.4%がウクライナを挙げた。同じ設問で、ウクライナはロシアによる侵攻前の2021年度調査では同割合は6.0%、侵攻後の2022年度調査では4.0%に下がっていたが、復興を見据え、市場としてのウクライナへの期待も高まりつつあることがうかがえる。

調査結果の詳細は、ジェトロ調査レポート「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」を参照。

(安田啓)

(欧州、ウクライナ)

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