米下院共和党議員、輸出管理を管轄するBISの予算増額に厳しい声明

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年12月13日

米国連邦議会下院外交委員会のマイケル・マコール委員長(共和党、テキサス州)らは12月5日、輸出管理規則(EAR)を管轄する商務省産業安全保障局(BIS)に向け、予算増額に合意する前に、米国の技術を敵国から守るために必要な改革を実施しなければならないとする声明を連名で発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

商務省のジーナ・レモンド長官は12月1日、米政治専門紙「ポリティコ」のインタビューで「BISの予算は過去10年間変わっていないが、その間に輸出許可申請の数は倍増している」とし、めまぐるしく変化する技術革新に対応する分析力を高めるには、既存の2億ドル強の予算では不十分で、これを大きく上回る予算を今後、議会に要求するつもりだと述べていた。

声明を発表したのは、マコール議員に加え、下院共和党指導部の1人のエリス・ステファニック議員(ニューヨーク州)と、中国特別委員会で委員長を務めるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州)の3人だ。マコール議員らは、中国の華為技術(ファーウェイ)のライセンス剥奪(2020年8月18日記事参照)や、ゲノム解析大手の華大基因(BGI)や人工知能(AI)サーバーを運営する浪潮(インスパー)の子会社のエンティティー・リスト(EL)への追加(2020年7月21日記事参照)、半導体大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)の米国の技術からの切り離しなど(2020年12月23日記事参照)、これまでBISが行ってきた輸出管理上の措置を挙げ、こうした対応は「政治的な意志であり、資金の問題ではない」と断じた。その上で、予算増加に関するあらゆる議論は、BISが中国やそのほかの敵対国との対抗に必要なことを行う、真の国家安全保障機関へと改革されていることを示す行動と一致しなければならないとして、厳しい姿勢を示した。

議会は過去にもBISに対して、輸出規制対象とすべき技術の特定が遅れていると指摘するなど(2021年6月9日記事参照)、厳しい態度をとってきた上、共和党は一般的に財政緊縮の立場をとる。米中関係に詳しいビーコン・グローバル・ストラテジーズのエリック・セイヤーズ氏は、レモンド長官はBISの予算増額が「官僚機構を拡大させるだけの取り組みではなく、米国政府の武器としてより鋭いツールとなるようこの機構(BIS)を現代化させるものだと、議会を説得する必要がある」と指摘している(「ポリティコ」12月1日)。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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