第3四半期のGDP成長率は前年同期比4.1%、前期より2.6ポイント増
(香港)
香港発
2023年11月07日
香港特別行政区政府統計処は10月31日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(速報値)を前年同期比で4.1%と発表した(添付資料図参照)。3四半期連続のプラス成長となり、前期から2.6ポイント上昇した。
GDP成長率を需要項目別にみると、前年同期比でプラス成長だったのは、個人消費支出(6.5%)、固定資本形成(18.2%)、貿易のサービス輸出(24.0%)とサービス輸入(28.5%)だった。政府消費支出はマイナス4.5%と前期(マイナス9.8%)より5.3ポイント改善、貿易の財輸出はマイナス8.6%と前期(マイナス15.1%)より6.5ポイント改善、財輸入はマイナス6.0%と前期(マイナス15.8%)より9.8ポイントの改善になり、いずれもマイナス幅が縮小した。
香港政府報道官は2023年第3四半期の香港経済の回復要因について、「インバウンド観光と個人消費に牽引された結果」とする一方で、GDPの需要面でマイナス成長となった主要項目については「外部需要が弱く、貿易の財輸出は引き続き大幅に減少した」と分析した。
その上で、同報道官は、残りの2023年香港経済について「インバウンド観光と個人消費が引き続き経済成長を下支えするだろう。個人消費については、家計所得の上昇や『香港夜繽粉(ナイトバイブス香港)(2023年10月13日記事参照)』を含む政府のさまざまな支援策が寄与するだろう」と述べた。一方で、継続的な懸案事項として、地政学的な緊張の高まりや金融引き締めを背景とする厳しい外部環境が、貿易の財輸出や投資・消費マインドを引き続き圧迫することなどを挙げた。
上海商業銀行のライアン・ラム調査責任者は、通年のGDP成長予測値は、香港政府が8月に発表した通年のGDP成長率予測「4.0~5.0%」を下回る3.8%とみており、「政府は投資に対する信頼感を改善しつつ、域外に向かう消費力(香港住民が週末などに域外で消費すること)を防ぐ必要があるが、投資への信頼感は価格が下落中の不動産市場と結びついている」と見解を示した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙11月1日)。
なお、香港政府は11月10日、2023年第3四半期のGDP成長率の詳細を公表する。
(松浦広子)
(香港)
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