入国時の関税課税措置厳格化に伴い携行品の持ち込みは要注意

(ケニア)

ナイロビ発

2023年11月08日

ケニア歳入庁は10月30日、ケニア入国時における携行品などに対する課税措置を講じることを発表した。ケニア入国時に、500ドル以上の物品を持ち込む場合、空港などで税関職員から税金の支払いを要求される可能性がある。

歳入庁のガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、課税は東アフリカ共同体税関管理法に基づく措置で、同法律は2004年から存在し、今回はそれを厳格運用したかたちとなっている。歳入庁は同法に基づき、対象物品の申告額に応じた輸入関税(Import Duty)、付加価値税(VAT)、物品税(Excise Duty)などの必要な税金を課税するとしている。新品、中古品、寄贈品にかかわらず課税の対象となるが、個人用の携行品や物品については基本的に課税の対象外である。また、カメラやビデオカメラといった撮影機材は、個人用の携行品や物品でない場合は基本的に課税対象となるが、個人での使用を目的として持ち込んだ場合も、税収増を目的として曖昧に制度設計されていることから、税関職員は課税を主張する可能性があるので注意が必要だ。その場合、個人用の携行品や物品であり対象外であることを粘り強く説明することが必要となる。ケニア在住者が国外に高価な商品を持ち出して、再度持ち込む場合には、ケニア出国時に税関に申告を行い、証明書の発行を受ける必要がある。

ジェトロが確認したところによると、11月1日時点ですでに空港では厳しい検査体制がとられているようだ。荷物引き取りの前にX線による検査が行われ、検査が必要と判断された荷物には印がつけられる。荷物引き取りのエリアには職員が増員配置され、印のつけられた荷物を持った職員が税関まで同行し、税関検査で荷物の内容を確認される。なお、手荷物についても、同様にX線検査が行われる。金額や購入場所の証明として購入時のレシートを示すよう要求されるなど、厳しい検査が行われている。

ケニア政府は深刻な財政危機にあり、税収ベースの拡大に取り組んでいる。増税に対する国民の強い反発にもかかわらず、2023年7月にも新財政法により新たな税金が多数導入された(2023年9月11日記事参照)。また、歳入庁による税務調査も厳格化しており、企業との税金にかかる係争も増加傾向にある

ケニアはアフリカ有数の観光立国でもあり、アルフレッド・ムトゥア観光・野生生物長官は、ジョモ・ケニヤッタ国際空港で税関職員が観光客に対するハラスメントを行っているとして、歳入庁を非難するコメントを発表した。在ケニア日本大使館も、外務省海外安全ホームページを通じて11月1日付で在留邦人に対する注意喚起外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。この措置の導入に伴い、入国時の税関手続きなどでこれまで以上に時間を要することや、ケニア税関による賄賂の要求の可能性もあるため、十分な注意が必要だ。

(佐藤丈治)

(ケニア)

ビジネス短信 c7fa6f9d04ea25c9