9月のカナダ消費者物価指数、前年同月比3.8%上昇

(カナダ)

トロント発

2023年10月18日

カナダ統計局が10月17日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比で3.8%上昇と、8月の上昇率(4.0%、2023年9月20日記事参照)を0.2ポイント下回った(添付資料表参照)。

品目別では、食料品は8月の前年同月比6.8%上昇から、9月は同5.9%上昇となり、上昇ペースが鈍化した。

耐久消費財も上昇ペースが鈍化し、8月の前年同月比1.4%上昇から9月は0.4%上昇となった。最も鈍化に寄与したのは新車購入で、在庫水準が前年に比べて改善したことが一因となり、8月の3.1%上昇を経て9月は1.7%上昇となった。加えて、家具(4.6%下落)や家電製品(2.3%下落)の価格下落も上昇ペースの鈍化に寄与した。

ただし、ガソリン価格は8月の前年同月比0.8%上昇から、9月は7.5%上昇となった。これはベース効果(注)が一因で、2022年9月の価格は世界的な原油生産量の増加を背景に前月比で7.4%下落していたのに対し、2023年9月の価格は前月比で1.3%下落にとどまったことによる。

発表を受けて同日、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)傘下のRBCエコノミクスのエコノミスト、クレア・ファン氏は「昨日発表されたカナダ中央銀行の四半期企業・消費者調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、第3四半期の企業・消費者双方の景況感の軟化がさらに浮き彫りなった。双方とも、今後数四半期は支出と成長のさらなる鈍化が予想されるとの認識を示している。実際、これまでの利上げが時差的に影響を及ぼし、家計収入に占める債務支払額の割合が上昇するにつれて、個人消費に下方圧力をかけ続け、企業にとっては値上げのスピードと頻度の判断がより難しくなっている。今後数カ月はCPIの変化がさらに緩やかになることが予想されるため、中銀は(金利政策に関して)2023年内は据え置くと予想される」とコメントした(RBC経済アップデート10月17日)。

中銀の次回政策金利の発表は10月25日に予定されている。

(注)時系列データを用いて前期比、前年同期比といった変化率の推移を算出する際に、算出する基準となる時点が変化したことが要因で変化率の推移に影響を及ぼすこと。

(飯田洋子)

(カナダ)

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