第3四半期GDP成長率は前年同期比3.3%、第二次産業が成長を牽引

(メキシコ)

メキシコ発

2023年11月06日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は10月31日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(速報値)について、前年同期比3.3%、季節調整済み前期比0.9%と発表した。

主要産業別の成長率をみると、第一次産業(農牧林水産業)は前年同期比5.3%、前期比3.2%、第二次産業(鉱工業)は前年同期比4.5%、前期比1.4%、第三次産業(サービス産業)は前年同期比2.5%、前期比0.6%と、全ての産業でプラス成長となった。特に、第二次産業の成長について、マネックス証券のアナリストであるマルコス・ダニエル・アリアス氏は「連邦政府の優先プロジェクト(注)の完了を目的とした建設支出の増大によるものだ」と述べた(「エル・エコノミスタ」紙10月31日)。

メキシコ中央銀行が11月1日に発表した、国内外37の民間シンクタンクを対象としたアンケートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(10月13~30日実施)において、2023年第3四半期の実質GDP成長率見通し(前年同期比)は平均3.14%で、それを上回る数値となった。また、実質GDP成長率の年間見通しにおける平均値は、9月時点のアンケートでは3.20%だったが、10月には3.29%と上方修正された。

経済成長の阻害要因は、政治的課題とエネルギー分野の寡占市場

前述の中銀アンケートによると、経済成長の阻害要因として挙げられた上位3項目は、「治安の問題」(24%)、「法の支配の欠如」(13%)、「構造改革の欠如」(12%)となり、引き続き政治的な問題が、マクロ経済に影響を与える可能性があるとしている。また、同アンケートの中で、メキシコにおける競争上の問題がある分野は、「電力」(33%)、「エネルギー(石油、ガソリン、ガス)」(28%)、「通信、インターネット」(13%)、「運輸サービス(高速道路、鉄道、航空、公共交通機関)」(13%)が上位に位置しており、特にエネルギー分野が寡占市場で、経済成長の阻害要因と指摘されている。ニアショアリングの影響により、電力供給不足が叫ばれる中(2023年10月20日付地域・分析レポート参照)、メキシコ石油公社(PEMEX)や電力庁(CFE)などの国営企業を優遇する動き(2021年7月2日付地域・分析レポート参照)から、民間企業の参入を促す構造改革が求められている。

(注)アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール政権下で進められてきた4大プロジェクトのうち、マヤ観光鉄道(2020年5月25日記事参照)およびテワンテペック地峡開発(2023年7月4日記事参照)への公共投資が拡大している。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

ビジネス短信 919bc032063a2ec7