米年末商戦、感謝祭休暇5日間の買い物客数は前年を上回るも、後払い決済サービスの利用が増加

(米国)

ニューヨーク発

2023年11月29日

全米小売業協会(NRF)は11月28日、米国の年末商戦の始まりとされる、感謝祭(11月23日)から翌週月曜日(11月27日)までの5日間の買い物客数を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。実店舗とオンラインを合わせた買い物客数は2億40万人となり、2022年の1億9,670万人を上回り、2015年以降では最高となった。

内訳をみると、感謝祭からの5日間における実店舗への来客数は1億2,140万人となり、2022年の1億2,270万人と比べてほぼ同じだった。5日間のうち、来客数が最も多かった日は、2022年から引き続き感謝祭翌日の「ブラックフライデー」で、1日の買い物客数は7,620万人に達し、前年の7,290万人を上回った。一方で、ブラックフライデー翌日の土曜日は5,900万人となり、前年の6,340万人を下回った。

また、オンラインでの購入者数は、前年同期比3%増となる1億3,420万人だった。オンラインで買い物客数が最も多かった日はブラックフライデーで、これは2019年以降と同様の傾向だった。同日の買い物客数は9,060万人に達し、2022年の8,720万人を上回った。これに対し、オンライン販売のセール日とされる「サイバーマンデー」の買い物客数は7,300万人となり、前年の7,700万人からわずかに減少した。

NRFが実施したアンケート調査(注1)によると、感謝祭の週末に購入した商品のうち、半数以上(55%)がセールやプロモーションによるものだと回答した。また、消費者の31%が期間限定のセールやプロモーションによって、購入をためらっていた商品を購入したと回答し、大幅な値引きがインフレに直面する多くの消費者を引き付けたという。

また、ロイター(11月28日)によると、インフレが続く中で、消費者は支払いを分割できる柔軟な後払い決済〔バイナウ・ペイレーター(BNPL)〕(注2)サービスに頼っている傾向がみられた。サイバーマンデーのBNPL経由の購入額は過去最高の前年比42.5%増の9億4,000万ドルとなり、アドビが予想していた18.8%増を大きく上回った。

金融サービス会社ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ルスキーニ氏は、後払い決済サービスの利用が増えていることは、消費者が購買意欲を失い始めている兆候かもしれないと指摘した。同氏は、クレジットカードの延滞や支払い遅延が増加していることと相まって、クレジットカード債務や自動車ローンを抱えている一部の消費者が、米国経済の圧力に屈し始めている兆候だと警告した(ビジネスインサイダー11月28日)。

なお、NRFは11月2日に、年末商戦期間(11~12月)全体の小売売上高について、前年同期比3~4%増の9,573億~9,666億ドルになるとの見通しを発表している(2023年11月6日記事参照)。

(注1)調査は2023年11月22~26日に米国の消費者3,498人を対象に行われた。

(注2)商品やサービスを購入した後に代金を支払うもので、一般的には一定期間内での分割による後払いの形式をとり、その際に利子や手数料はかからない。

(樫葉さくら)

(米国)

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