全国賃金評議会、低所得者の賃金引き上げを勧告

(シンガポール)

シンガポール発

2023年11月02日

シンガポールの政労使代表で構成する全国賃金評議会(NWC)は10月31日、2023/2024年度(2023年12月1日~2024年11月30日)の賃金ガイドラインを発表した。新型コロナウイルス感染の沈静化に伴う景気回復を受けて、事業主に対し、総月給2,500シンガポール・ドル(約27万5,000円、Sドル、1Sドル=約110円、注)以下の「低所得者」について、総月給の5.5~7.5%、または85~105Sドルのいずれか高額の賃上げを勧告した。

NWCは、人材省や全国労働組合会議(NTUC)、シンガポール国家雇用者連合(SNEF)、外国商工会議所などの代表で構成し、景気や雇用市場の動向、経済見通しなどを考慮して、その年の賃金改定の指針となるガイドラインを毎年発表している。同評議会は低所得者の定義を、フルタイムの国民(永住権者を含む)の総月給の下位20%と設定している。

また、政府は、低所得者の給与を底上げするため、一部職業について職種と技能に応じて賃金を段階的に引き上げる「累進的賃金モデル(PWM、2022年8月22日記事参照)」を設定している。フルタイムの国民(外国人永住権者を含む)の事務職とドライバーについては2023年3月からPWMに基づき、2024年2月までの最低賃金を設定していた。NWCは今回の勧告で、事務職とドライバーについて、2024年7月1日~2026年6月30日の最低賃金の設定を発表した。

物価上昇で一時金の支給の検討を呼びかけ

さらに、NWCは、物価上昇に伴う生活支援のため、雇用主に対し、一時金の支給の検討を呼び掛けた。一時金の支給にあたっては、特に低・中所得者に手厚く支給するよう勧告した。

一方、同評議会は全ての従業員を対象に、(1)業績も先行きの見通しも良い事業主について、業績と従業員の貢献に応じた基本給と可変給(業績に応じて変動する給与)の引き上げ、(2)業績が良いが先行き不透明な事業主については、基本給の引き上げを緩やかにしつつも、従業員の貢献に応じた可変給の支給、(3)業績が低迷した事業主については、経営層が見本を示すかたちで賃金の抑制を行うよう、勧告した。

NWCの賃金ガイドラインは、幹部、専門職、技術者、一般社員と全ての労働者に対し、組合・非組合を問わずに適用される。同勧告の全文および事務職とドライバーの最低賃金は人材省ウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(注)総月給は、基本給、可変給、食事や住宅などの手当、インセンティブ、残業代を含むが、賞与と年間給与補助(AWS、13カ月目の給与)は含まれない。また、中央積立基金(CPF)の従業員の負担分を含むが、雇用主のCPF負担は含まれない。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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