米フロリダ州で日本食イベント「WOW! JAPAN in Miami」初開催、ホタテなど日本産水産物PR

(米国、日本、愛媛)

アトランタ発

2023年11月28日

北米で日本文化の発信イベントなどを手掛けるジャパン・テイスト・マーケティングは11月18日、米国フロリダ州マイアミで日本食の普及イベント「WOW! JAPAN in Miami」を初めて開催した。会場には日本食や酒類メーカーなどが合計19のブースを設置し、解凍時に鮮度や味が落ちにくい瞬間冷凍技術を使った日本産ホタテやイクラのほか、ひと口サイズの手毬(てまり)すしやノドグロなど、マイアミでは珍しい水産品の試食を提供した。マイアミの観光都市としての性格も反映して、大手ホテルやレストランなどのバイヤーが来場した。

写真 会場の様子(ジェトロ撮影)

会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 日本産水産物のPRのために来場した研ナオコ氏(手前右から2人目、ジェトロ撮影)

日本産水産物のPRのために来場した研ナオコ氏(手前右から2人目、ジェトロ撮影)

来賓として出席した在マイアミ日本総領事館の中井一浩総領事は「マイアミは中南米のゲートウエーであることに加え、経済発展の著しいフロリダ州の人口は1日当たり900人のペースで増加しており、その多くが若年の富裕層だ。この層は正統的な日本食レストランの顧客で、これが日本食需要を後押ししている」と述べた。

会場では、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の放出に伴い、中国や香港、ロシアなどが日本産水産物の輸入停止措置を講じていることを受け(2023年8月24日記事参照2023年10月18日記事参照)、中国市場依存からの脱却と米国市場での販路開拓を目指す日本の水産事業者4社などが日本産水産物をPRするブースを設け、米国バイヤーとの商談を行った。会場では日本産酒類のPRと商談も行われた。

写真 試食提供された日本産ホタテなど(ジェトロ撮影)

試食提供された日本産ホタテなど(ジェトロ撮影)

写真 ホタテのかぶり物を着た研ナオコ氏によるパフォーマンス(ジェトロ撮影)

ホタテのかぶり物を着た研ナオコ氏によるパフォーマンス(ジェトロ撮影)

さらに、愛媛県立宇和島水産高校の課外活動の「フィッシュガール」(注)が宇和島産養殖クロマグロの解体ショーを披露し、日本産養殖マグロの品質の高さなどをアピールした。

写真 「フィッシュガール」によるマグロの解体ショー(ジェトロ撮影)

「フィッシュガール」によるマグロの解体ショー(ジェトロ撮影)

2022年のフロリダ州の人口は約2,224万人で全米3位、2021年からの人口増加率は1.9%で全米1位だ。また、ジェトロの「米国における日本食レストラン動向調査PDFファイル(629KB)」によると、2022年のフロリダ州内の日本食レストラン数は、カリフォルニア州(4,995店舗、2018年から11.8%増)、ニューヨーク州(1,936店舗、同2.3%増)に次ぐ全米3位の1,501店舗(同18.6%増)で、2018年からの増加率ではこれら上位2州を上回る。特に州内最大都市圏のマイアミ周辺には、ニューヨークなどから移り住んだ高級志向の人々が集っているとされる。2022年12月には、宝酒造インターナショナルが過半数株式を保有する日系食品卸しのミューチャルトレーディングが、マイアミ郊外に本社を置く輸入卸業者のケーシートレーディングを買収するなどの動きもあり、高品質な日本産食材の今後の広がりが期待される。

ジェトロは今後も、日本産水産物の米国向け輸出拡大を目的とした商談機会の創出などを実施していく予定だ。

(注)愛媛県立宇和島水産高校の課外活動。2012年設立。愛媛県内はもとより、日本や海外各地で養殖マグロの解体ショーや、愛媛県産水産物を利用した加工食品の開発・魚食の実演を通じ、県内で養殖された魚をPRする役割を担っている。「フィッシュガール」は商標登録。

(瀧統、檀野浩規)

(米国、日本、愛媛)

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