失業保険の協約改定、受給条件を5カ月に短縮

(フランス)

パリ発

2023年11月28日

フランスの経営者団体と主要労組は11月10日、2024年から2027年までの失業保険手当の受給資格条件を定める労使協約の改定に合意した。新たな協約は2024年1月に発効する。2023年11月12日付「レゼコー」紙(電子版)によると、4年間で8億1,500万ユーロの支出増、15億ユーロの減収となる。

具体的には、これまで「直近24カ月間に6カ月就労」としていた失業手当の受給条件を、初めて失業手当を受給する労働者や季節労働者に対しては「直近24カ月間に5カ月の就労」に短縮する。高額給与所得者(月額約4,858ユーロ超、額面)を対象に7カ月目以降から適用される失業手当の逓減制度は、対象となる年齢を現行の57歳未満から55歳未満に引き下げる。

2017年3月の労使合意で、3年間の暫定的な措置として0.05%引き上げた雇用主負担の失業保険料は、従来の4%に引き下げる。有期労働契約を多用する産業分野に導入された、失業保険料の雇用主負担分割増・割引制度(2019年6月21日記事参照)の対象となる労働契約は、1カ月未満の契約を対象とし、代替の期限付き雇用終了、季節労働契約、合意に基づく労働契約の解約、就労不能、重大な過失による解雇は対象外とする。

2018年の「職業人生選択の自由のための法律外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」により、労使の協議は政府が交渉の目的を定めた「枠組み文書」に基づいて行われることになり、今回の交渉の余地は少なかった。

失業保険の会計は、2008年以来初めて2022年に43億ユーロの黒字となり、2023年には44億ユーロの黒字が見込まれている。累積赤字は2023年に563億ユーロ、2024年に510億ユーロ、2025年に423億ユーロとなる見込みだ。

完全雇用を目指す政府は、失業者への職業訓練などの支援強化や、日本のハローワークに相当するポール・アンプロワに代わるフランス・トラバイユ(2024年1月から改組予定)設置のための財源への負担強化を労使側にも求めている。しかし、労使は、失業保険における国家と労使の間の責任を曖昧なものとし、さらなる負担は累積赤字の返済を危うくするもので失業保険制度の財政の弱体化につながる、との見解を示した。

労使により共同運営されている失業保険は、原則、労使が締結する失業保険制度の運用に関する労使協定を承認する政令(デクレ)の発令をもって適用される。2018年の労使協定は、有期雇用契約の乱用防止対策について決裂し、政府が決定した内容をデクレとして発令していた。デクレの有効期限は2023年末までとなっている。

今回の交渉に参加した主要労組5団体のうち、フランス民主主義労働同盟(CFDT)、キリスト教労働者同盟(CFTC)、労働者の力(FO)の3団体が協定に署名し、フランス幹部同盟・幹部総同盟(CFE-CGC)と共産党系の労働総同盟(CGT)は署名を見送った。

(奥山直子)

(フランス)

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