クリスマス手当に関する調査発表、全国で過半数の従業員に支給あり
(ドイツ)
調査部欧州課
2023年11月22日
ドイツのハンスベックラー財団経済社会研究所(WSI)は11月14日、クリスマス手当に関する調査結果を発表した。調査は2022年11月~2023年10月にオンラインアンケートで行われ、4万人以上が回答した。
ドイツではクリスマス手当のような賞与の支給は法律で義務化されておらず、労働協約や雇用契約の規定などにより支給の有無や額が決まる。
WSIの上記調査によると、アンケート回答者のうち、クリスマス手当が支給されると回答した割合は53%だった。同手当が支給されると回答した割合は、労働協約の適用がある場合には77%にのぼり、適用がない場合には42%と低かった。
WSIは、クリスマス手当支給に関する労働協約の調査結果も発表した。24の産業の労働協約を調査した結果、一律の金額で支払われる場合には250~2,156ユーロ、月額給与を基準にする場合には月額給与の20~110%の支給と、産業により大きな違いがあった。
WSIは、2023年6月には夏季休暇手当に関する調査結果も発表した。調査は2022年5月~2023年4月にオンラインアンケートで行われ(約6万人が回答)、夏季休暇手当が支給されると回答した割合は47%だった。同手当が支給されると回答した割合は、労働協約の適用がある場合には74%、適用がない場合には35%になった。いずれも、クリスマス手当よりも支給される割合が低かった。
なお、ドイツ連邦統計局の2023年6月の発表によると、2022年は国内全従業員のうち労働協約が適用されるのは49%だった。産業別にみると、宿泊・飲食は20%、製造は51%、金融・保険は75%、公務は100%の労働協約適用率だった。
手当支給基準となる月額給与は2023年に上昇加速か
ドイツ連邦雇用庁は2023年10月、2022年の賃金統計分析を発表した。同分析によると、2022年のドイツ国内のフルタイム従業員の月額給与(注1)の中央値は3,646ユーロ(前年比3.7%増)だった(添付資料図参照)。産業別にみると、中央値が最も高いのが金融・保険の5,447ユーロ、最も低いのが宿泊・飲食の2,328ユーロで、州ごとの差も大きかった(添付資料表参照、注2)。
ドイツの主要研究所の1つであるifo経済研究所やWSIは2022年12月に、2023年には多くのドイツ国内企業で給与が引き上げられると予想しており(2023年1月5日記事参照)、WSIの2023年9月7日発表では、2023年は労働協約が適用になる従業員の給与は平均5.6%上昇するとの推定だった。
月額給与を基準にクリスマス手当などの支給額を決定していれば、手当額も連動して上昇することになる。家計の購買力が回復し、景気再浮揚へ貢献すること(2023年10月11日記事参照)が期待される。
(注1)月額給与は賞与などを含み、従業員負担分の社会保険料など控除前のグロス。
(注2)ジェトロの「投資コスト比較」では、日系企業の関心が高いノルトライン・ウェストファーレン州(デュッセルドルフ)とバイエルン州(ミュンヘン)での一部産業・職種の月額給与をまとめた。
(二片すず)
(ドイツ)
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