英石油ガス大手のBP、テスラの急速充電機器1億ドル分の購入を発表
(米国、英国)
ニューヨーク発
2023年11月02日
英国の石油ガス大手のBP(本社:ロンドン)は10月26日、同社充電部門のbpパルスを通して、電気自動車(EV)メーカーのテスラが提供する急速充電器を1億ドル分購入すると発表した。BPは同社が掲げる5つの移行成長戦略の1つに充電器事業を挙げており、米国では2030年までに10億ドルのEV充電インフラ投資を計画している。
BPが今回購入する急速充電器では、テスラのポート規格であるNACS(注1)に加え、従来のCCS(注2)の利用も可能。自社ブランド機器として、同社が設置、運用を行う予定だ。テキサス州ヒューストン、アリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州ロサンゼルス、イリノイ州シカゴ、首都ワシントンを皮切りに、2024年から大都市で事業を展開する。米国州間高速道路網沿いの旅行センターの運営・フランチャイズ事業を行うトラベルセンターズ・オブ・アメリカやエーエム・ピーエム(ampm)、ソーントンズなど、同社傘下のコンビニエンスストアやガソリンスタンドへの設置が検討されている。
米国ではバイデン政権が、2030年までに新車のクリーンビークル(CV)割合を50%とする目標を掲げ、75億ドルの助成金を拠出して全米で50万基の充電器設置を目指している(2022年2月16日記事)。しかし、実際には120万基の充電器が必要だとされており、早急な充電器ビジネスの拡大が求められている。BPは今回のテスラとの契約とは別に、連邦政府の「NEVIフォーミュラプログラム」(2022年9月29日記事参照)や州政府の助成金プログラムを利用し、カリフォルニア州、ペンシルベニア州、コロラド州、ケンタッキー州でも充電事業を進めている。
今回の発表に関し、テスラのレベッカ・ティヌシ充電インフラ担当シニアディレクターは「急速充電機器の販売はわれわれにとって新たな一歩だ。当社は、世界の持続可能なエネルギーへの移行を加速するというわれわれの使命を推し進めるため、(急速充電機器の販売を)拡大していこうと考えている」と販売事業拡大に意欲を示す。また、bpパルス・アメリカズのスジェイ・シャルマ最高経営責任者(CEO)は「われわれは常にオープンで、EV業界のリーダーとの提携をさらに拡大することに尽力している。全国で増え続けるEVドライバーを、われわれのネットワークに迎え入れることを楽しみにしている」と述べた。
(注1)北米充電標準規格(North American Charging Standard)の略称。
(注2)コンバインド・チャージング・システム(Combined Charging System)の略称。
(大原典子)
(米国、英国)
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