AGOAフォーラムがヨハネスブルクで開催、米国のAGOA再承認の決定は持ち越し

(南アフリカ共和国、米国、アフリカ)

ヨハネスブルク発

2023年11月13日

南アフリカ共和国のヨハネスブルクで11月2日から4日にかけて、第20回・米国サブサハラ・アフリカ貿易経済協力フォーラム(AGOAフォーラム)が開催された。政府関係者およびビジネスリーダーが集い、米国とサハラ以南のアフリカとの貿易・投資関係強化などが話し合われた。今回は2025年末に終了を迎えるアフリカ成長機会法(AGOA)(注)が延長されるかどうかが注目されていたが、期間中に結論は出ず、今後も議論が続くことになった。

シリル・ラマポーザ大統領はフォーラムの開会式で、AGOAが米国とアフリカのビジネスにおいて礎石的な役割を担い、対象国のアフリカ経済に利益をもたらしてきたとし、早期の更新は貿易と投資の強化に重要と述べた。また、現在、対象となっている6,800品目から対象を拡大し、中小企業もAGOAを利用しやすくなるよう改革すれば、各国の利用率も高まるとした。同演説によれば、ケニアの対米国輸出の88%、レソトの対米国輸出の99%が関税免除の特恵待遇を享受している。さらに、前述の2カ国のほか、エチオピア、モーリシャス、マダガスカルからは米国に繊維製品を輸出しており、国内の数万人の雇用を創出したという。南アは自動車の完成品を米国に輸出する際に関税免除を受けており、南アでの自動車生産向け部品を製造するザンビア(銅線製造)、コートジボワール、ナイジェリア、マラウイなど(ゴム製造)、チュニジア(ハンドル製造)にも利益を与えていると述べた。なお、AGOA情報提供のウェブサイトによれば、2022年のAGOA受益国からの米国輸出は合計300億ドルで、そのうちの102億がAGOAの優遇措置を受けた。

ジョー・バイデン大統領はAGOA再承認を支持しているものの、対象国の条件を満たさないとして、アフリカ4カ国(ニジェール、ガボン、中央アフリカ、ウガンダ)を対象国から除外した(2023年11月8日記事参照)。これにより、対象国はサハラ以南の35カ国になった。2023年にクーデターが発生したニジェール(2023年7月31日記事参照)やガボン(2023年8月31日記事参照)、中央アフリカは政治的な多元性や法の支配の欠如などを理由に挙げ、ウガンダは2023年5月に罰則に死刑を含む反LGBTQ(性的少数者)法の成立が人権侵害にあたるとされた。今回の除外は2024年1月1日に発効する。

(注)AGOAはAfrican Growth and Opportunity Act(アフリカ成長機会法)の略で、米国がアフリカのサブサハラ諸国の発展に関与すべく2000年に成立させた法律で、条件を満たす国からの輸入に対して無関税の特恵待遇を与えるもの。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、米国、アフリカ)

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