新疆に自由貿易試験区を設置、中央アジア・欧州との連携を強化

(中国)

北京発

2023年11月07日

中国国務院は10月31日、「中国(新疆)自由貿易試験区全体計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。中国(新疆)自由貿易試験区(以下、新疆自貿区)の新設により、中国の自由貿易試験区は22カ所となった。

新疆自貿区は、中国の西に向けた対外開放の拠点と位置付けられ、今後3~5年をかけて、優れたビジネス環境、利便性の高い貿易・投資環境、優位性のある産業の集積、周辺地域への波及効果が際立つ高水準・高品質の自貿区となることを目指すとした。

全体計画によれば、新疆自貿区は、総面積が約180平方キロで、区都(自治区政府所在地)があるウルムチエリア、新疆南部のカシュガルエリア、新疆北部のホルゴスエリアから構成されている。計画には、エリア別の機能や重点産業が示されている(添付資料表1参照)。

また、具体的な取り組みとして、投資の自由化・利便性向上の推進、貿易の利便性の水準向上、デジタル経済の推進、人民元決済の拡大、上海協力機構(SCO)や「中国・中央アジア5カ国」協力枠組み(2023年5月23日記事参照)などを活用した周辺国との協力強化など、8分野25項目の措置が盛り込まれた(添付資料表2参照)。

商務部の郭婷婷副部長は11月1日に開催された新疆自貿区に関する記者会見で、同自貿区の特徴について、(1)ハイレベルの対外開放を加速し、政府機能の転換を促進すること、(2)中部・東部からの先進製造業と労働集約型産業の移転を受け入れ、新エネルギー、新素材などのハイテク企業を育成し、デジタル経済を推進するなど開放型の特色ある産業体系を構築すること、(3)アジアと欧州を結ぶ総合物流ハブを建設し、中央アジア諸国やSCO加盟国と経済貿易・産業・エネルギーなどにおける協力を強化することを挙げた。

新疆東西部経済研究院の唐立久院長は、北西部の国境地域に新疆自貿区を設置することは、新疆の対外開放が重視されていることを表していると指摘した上で、地理的優位性を有する新疆は地政学戦略がいくら変化しても、中国の西に向けた対外開放の拠点となり、国家戦略において重要な役割を果たすとコメントした(「環球時報」11月1日)。

(張敏)

(中国)

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