米アーキア・エナジー、インディアナ州で再生可能天然ガス工場を稼働

(米国)

シカゴ発

2023年10月11日

米国再生可能天然ガス(RNG)生産大手のアーキア・エナジー(Archea Energy、本社:テキサス州)は10月4日、インディアナ州メドラの再生可能天然ガス(RNG)プラントを正式に稼動させたことを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。英国の石油ガス大手BP(本社:ロンドン)が2022年12月にアーキアを買収して以来(2023年1月10日記事参照)、正式稼働した最初のRNGプラントとなる。

同プラントは、インディアナポリスの南約130キロに位置し、廃棄物処理・リサイクル大手のランプキー・ウェイスト・アンド・リサイクリング(本社:オハイオ州)が所有する埋立地に隣接している。アーキアのプラントでは、この埋立地で発生するガス(注)を回収し、電気、熱、RNGに変換する。発表によると、同プラントでは、毎分3,200立方フィート(約91立方メートル)の埋め立てガスをRNGに変換することができる。

また、今回のプラント建設で同社は独自の「アーキア・モジュラー・デザイン(AMD)」を採用した。この標準化されたモジュール設計を採用すれば、これまではカスタムメイドで建設されてきたRNGプラントとは異なり、業界標準よりも迅速な建設が可能になるという。同社のスターリー・サイクス最高経営責任者(CEO)は同プラントの稼働について、「埋め立て地からの排出ガスを回収し、低排出・低炭素燃料を顧客に提供するネットゼロの取り組みにおける重要な第1歩となった。われわれの目標は、今年中に同じAMDを採用した複数のRNGプラントを安全に稼働させることだ」と述べている。

アーキアは全米で50のRNG施設および埋め立てガスからエネルギーを生産する施設を運営しており、2030年までにRNGの生産量が5倍に増加すると見込む。米国環境保護庁(EPA)によれば、全米で2023年7月現在、532カ所の埋め立てガスエネルギー施設が稼働しており、さらに463カ所がそのような施設の候補となっている。

(注)埋め立て地で廃棄物が微生物に分解される際に自然に発生する「埋め立てガス(landfill gas)」は、温室効果ガスの一種で、通常約50%のメタン(天然ガスの主成分)、約50%の二酸化炭素(CO2)と微量メタン以外の有機化合物で構成されている。EPAによると、2021年の米国の人為によるメタン排出源は、天然ガスおよび石油生産システムが32%、家畜が27%、都市固形廃棄物埋め立て地は約14.3%を占めている。

(星野香織)

(米国)

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