英BP、米アーキア・エナジー買収完了、バイオエネルギー事業加速へ

(米国、英国)

ヒューストン発

2023年01月10日

英国の石油ガス大手BP(本社:ロンドン)は2022年12月28日、バイオエネルギー事業の加速に向けて、米国の再生可能天然ガス(RNG)生産大手アーキア・エナジー(本社:テキサス州ヒューストン)の買収を完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。なお、BPはこれに先立って10月に、規制当局とアーキア・エナジーの株主の承認を得たのち、同社を約41億ドルで買収することで合意したと発表していた(2022年10月18日記事参照)。

RNGは、牛ふんなど農場から出る有機性廃棄物や、埋め立て地などから発生するバイオメタンを回収・処理して製造される。バイオメタンには、二酸化炭素(CO2)の25倍以上の温室効果があるとされている。従って、大気中に放出せずに再生可能天然ガスとして利用するRNGは、温室効果ガス(GHG)排出量を減らすことにつながり、短期的な気候変動対策として注目され、需要増が期待されている。

BPは、同社が販売するエネルギー製品の平均炭素強度(注)を2050年までにゼロにすることを目標に掲げ、エネルギー移行期の戦略的成長事業としてバイオエネルギーや再生可能エネルギーなど5つの事業を発表している。同社は、5事業への投資を2025年までに年間資本支出全体の40%以上、2030年までに50%程度に拡大することを目指している。

BPアメリカのデーブ・ローラー会長兼社長は「アーキアを迎え入れることで、当社のバイオエネルギー事業を成長させる大きな機会が得られると確信している」と述べた。

なお、BPは米国における脱炭素化事業として、2022年5月にアイルランドのリンデとテキサス州メキシコ湾沿岸でのCO2回収・貯留(CCS)プロジェクトを発表した(2022年5月19日記事参照)。また、翌6月には米国ジーボがアイオワ州で生産するRNGをBPが買い取り、カリフォルニア州内で販売すると発表した(2022年6月16日記事参照)。

(注)エネルギー単位当たりのCO2排出量、すなわちCO2排出原単位を示す。炭素集約度とも呼ばれる。

(沖本憲司)

(米国、英国)

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