INPEX、ヒューストン港における大規模低炭素アンモニア事業の概念設計を開始

(米国)

ヒューストン発

2023年10月05日

INPEX(本社:東京都港区)、エア・リキード・グループ(本社:フランス・パリ)、LSBインダストリーズ(LSB、本社:米国オクラホマシティ)、ヴォパック・モーダ・ヒューストン(VMH、本社:米国ヒューストン)の4社は共同で、テキサス州ヒューストン港にVMHが保有する既存アンモニアターミナルを活用した低炭素アンモニア事業の概念設計(pre-FEED)を開始することに合意したと10月3日に発表した。

INPEXは、低炭素水素および低炭素アンモニア製造の双方に事業参画し、生産から出荷まで事業全体の最大出資者となる。

エア・リキードは、INPEXとともに低炭素水素製造および二酸化炭素(CO2)回収を実施する。エア・リキードの自己熱改質(ATR)技術とCO2回収技術を組み合わせることにより、水素製造施設から直接排出されるCO2のうち95%以上(年間160万トン以上)を回収し、地下への圧入・貯蔵ができる見込みだ。

LSBは、INPEXとともに低炭素アンモニア製造およびマーケティング活動を実施する。対象はアジアを中心とし、欧米市場でも販売を想定している。

VMHは、既にヒューストン港内にアンモニア貯蔵施設および大型液化石油ガス(LPG)運搬船(VLGC船)が着桟可能なターミナルを所有・操業しており、低炭素アンモニア貯蔵施設を追加建設する計画だ。

4社は、天然ガスを原料として低炭素水素を製造し、2027年末までに年間110万トン以上の低炭素アンモニアの商業生産を目指して開発を進める予定で、将来的な設備の拡張も検討していく。

INPEXは米国でエネルギーの安定供給や脱炭素化に向けた取り組みを進めており、2021年5月にエネルギー分野のスタートアップとの協業促進を目的とした米国プラグ・アンド・プレイとの連携(2021年5月31日記事参照)、2022年12月には米国ベンチャー・グローバル・LNGと液化天然ガス(LNG)売買契約締結(2023年1月5日記事参照)、2023年6月には次世代蓄電池を開発する米国テラワット・テクノロジーへの出資(2023年6月7日記事参照)を発表している。

(深石晃)

(米国)

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