米下院議会、マッカーシー議長の罷免決議を可決、米史上で初

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月04日

米国連邦議会下院は10月3日、ケビン・マッカーシー下院議長(共和党、カリフォルニア州)の罷免決議を賛成216票、反対210票、棄権7票の賛成多数で可決した。米国で下院議長が罷免されるのは史上初めて。

下院は全433議席(注)中、過半数となる221議席を共和党が占めている。一方で、2024会計年度本予算までのつなぎ予算の成立にあたり、共和党保守派は、要求する大規模な歳出削減などが盛り込まれていないとして、マッカーシー議長への反発を強めており(2023年10月3日記事参照)、今回の罷免決議により「造反」したかたちだ。

今回の罷免決議を受けて、新たに下院議長を選出することとなるが、現時点では明確な候補者は現れていないもようだ(ロイター10月3日)。なお下院は、今週は新たな議長選出を行なわないとしており、またマッカーシー議員は立候補しないと周囲に明かしている(政治専門誌「ザ・ヒル」10月3日)。議長不在中の当面の措置として、パトリック・マクヘンリー下院議員(共和党、ノースカロライナ州)が議長代行を務めることになる。議長代行の候補者はマッカーシー議員が議長に選出された2023年1月に決定しており、議長が職務遂行不可能な状況となるまで人選は秘密にされていた(政治専門誌「ポリティコ」10月3日)。

2023年5月の債務上限に係る合意(2023年5月29日記事参照)とそれに基づく法案成立(2023年6月5日記事参照)や、つなぎ予算の成立に大きな役割を果たしたマッカーシー議長の罷免は、政府閉鎖に対する懸念を再燃させそうだ。新たな下院議長が選出されるまでは、2024年度歳出関連法案の審議の停滞が想定されるため、つなぎ予算の期限である11月17日までに同法案の成立が間に合わない可能性も想定される。今回のつなぎ予算の争点だった大規模な歳出削減やウクライナ支援、国境措置といった論点は民主党・共和党間の間での隔たりが大きく、今後の道筋は極めて不透明だ。

(注)定数は435議席、2023年10月3日時点で欠員が2議席。

(磯部真一、加藤翔一)

(米国)

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