米連邦議会、11月17日までのつなぎ予算案可決、政府閉鎖はいったん回避

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月03日

米国連邦議会は930日、上下院とも超党派でつなぎ予算法案を可決した。同法案はジョー・バイデン大統領が即日署名して成立した。これにより、懸念されていた2024会計年度が始まる101日までに歳出関連法案を成立できずに政府機関が閉鎖(政府閉鎖)される事態はいったん回避された。

つなぎ予算は、1117日または各分野の歳出法が制定される日までのいずれか早い方を期限として、2023会計年度の各歳出法に基づく水準での歳出を認めるもの。バイデン大統領が求めていた災害救援基金も160億ドルの拠出が盛り込まれた。一方で、同じく大統領が求めていたウクライナ支援に係る拠出や、共和党保守派が求めていた国境措置に関する拠出などは盛り込まれていない。また、2023年会計年度の歳出法に基づかない新規プログラムに対する資金拠出は禁止されている。

連邦議会は引き続き1117日までに、2024会計年度の歳出関連法案の可決を目指すが、見通しは依然として不透明なままだ。下院では、共和党保守派が大規模な歳出削減などが今回のつなぎ予算に盛り込まれていないとして、つなぎ予算成立に大きな役割を果たしたケビン・マッカーシー下院議長(共和党、カリフォルニア州)の解任を求めるなど反発を強めており(ブルームバーグ101日)、民主・共和両党間での妥協の余地が今後ますます小さくなる可能性がある。また、今回のつなぎ予算法案に盛り込まれなかったウクライナ支援や国境措置については、民主・共和両党間の隔たりが大きく、引き続き高いハードルが残される。

今回のつなぎ予算成立について、バイデン大統領は30日に声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、「現役の兵士は給与を引き続き受け取り、旅行者は空港の遅延を免れ、何百万人もの女性と子供が重要な栄養補給支援を受け続けることが保証されることは米国民にとって朗報」と評価した。一方で、6月に米国債などの債務不履行(デフォルト)を回避すべく、連邦政府の債務借り入れ上限を引き上げることでバイデン大統領とマッカーシー議長が合意したこと(2023年5月29日記事参照)を念頭に、「数カ月前にマッカーシー議長と私は、まさにこのような危機を回避するために合意をしたのであり、そもそもこのような状況に置かれるべきではなかった」として、大規模な歳出削減などを求める下院共和党保守派を非難した。

(加藤翔一)

(米国)

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