アルジェリア、水素分野で加速するドイツとの協力

(アルジェリア、ドイツ)

パリ発

2023年10月31日

アルジェリアのエネルギー・鉱業省は10月23日、アルジェでドイツ国際協力公社(GIZ)と、再生可能エネルギーとグリーン水素分野での協力促進を目的とする共同プロジェクト「TaqatHy」の技術協力契約に調印した。契約額は1,200万ユーロに達する。調印式は同日にアルジェで開催された「第5回アルジェリア・ドイツ・エネルギー・デー」の場で行われ、アルジェリアのムハンマド・アルカブ・エネルギー・鉱業相、ドイツのステファン・ベンツェル経済・気候保護省政務次官らが出席した。

アルカブ大臣は2023年3月に、国家水素戦略のロードマップに基づき、2030年をめどにブルー、グリーン水素の大規模な製造販売を開始すると発表している。また、2040年をめどに欧州市場の水素需要の10%を供給する目標を掲げた。アルジェリア政府は今回の契約を通じて、ドイツからの技術移転により、再生可能エネルギーやグリーン水素分野の戦略的、制度的、技術的能力を強化し、国家水素戦略の具体化と目標達成を目指している。一方、ドイツはロシア産ガスへの依存低減が喫緊の課題な中、短中期的対応として液化天然ガス(LNG)調達とインフラ整備を加速しており、供給元の多様化も進めている(2022年9月27日付地域・分析レポート参照)。さらに、カーボンニュートラルに向けた長期的な対応も必要なため、ドイツ政府も輸入による水素確保を重点柱とする国家水素戦略(2023年10月17日付地域・分析レポート参照)を定めている。今回の契約を通じて、今後増加する水素の需要に向けて、新たな調達先を確保する狙いがある。

2022年12月に行われた「第4回アルジェリア・ドイツ・エネルギー・デー」では、アルジェリア国営公社ソナトラックがドイツの天然ガス企業VNGと、グリーン水素やグリーンアンモニアのドイツ向け輸出を目的とした協力に関する合意書を締結した。この合意書の下、水素の生産・貯蔵・輸送・販売までのバリューチェーン全体に関する実現可能性調査(FS)とパイロット事業の実施を予定している(2023年2月8日記事参照)。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア、ドイツ)

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