AMRO、2024年のASEAN+3経済成長予測維持も、インフレに警鐘

(中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本)

シンガポール発

2023年10月05日

シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)」は10月4日、ASEAN+3(中国・香港、日本、韓国)実質GDP成長率の予測を発表し(AMROプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2023年は前年比4.3%と、7月に発表した前回予測(4.6%)から引き下げた(2023年7月12日記事参照)。AMROは今回のプレスリリースで、「中国の第2四半期の(経済)成長が予想を下回ったこと」を主な引き下げ要因として挙げた。

2024年のASEAN+3の見通しは4.5%に据え置いた。AMROは報告書において、「中国の不動産セクターの緩やかな調整は、中国の成長を助け、ASEAN+3全体にプラスの波及効果をもたらす」との見方を示すとともに、「観光客の増加」や「製造業品輸出の回復」を指摘した。他方で、「世界的な成長鈍化は、ASEAN+3の成長速度を抑制する」とした。

急激な通貨安の影響を受けるラオスとミャンマーを除いたASEAN+3の2024年のインフレ率の予測は2.6%と、前回(2.4%)から引き上げた。AMROは報告書の中で、「世界的な一次産品価格の上昇傾向や、いくつかの経済圏でコアインフレ率が高止まりしている」と言及。ASEAN+3の半数(日本、韓国、ブルネイ、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム)の見通しを前回から引き上げた。

AMROは「米国の金融引き締めによる金融波及リスクは前回以降いくぶん沈静化したものの、世界的なエネルギー価格と食料品価格の高騰リスクは高まった」とし、2023年から2024年にかけてのベースライン予測に影響を与え得る主なリスクとして、(1)世界の商品価格の高騰、(2)米国と欧州の景気後退、(3)予測を下回る中国の景気回復速度、(4)米国の金融政策引き締めによる影響を挙げた。また、さらに先のリスクとして、米中間の地政学的緊張を挙げた。

(朝倉啓介)

(中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本)

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