ノゴド、バングラデシュ初となるデジタル銀行を開設へ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年10月27日

バングラデシュ有数のモバイル金融サービス(MFS)プロバイダーであるノゴド(Nagad)は10月25日、デジタル銀行の開設第1号に向け、中央銀行から意向表明書(Letter of Intent:LOI)を取得したと記者発表した。ノゴドは、郵便局と民間金融サービスのサードウェイブテクノロジー(Third Wave Technology)が、官民連携のイニシアチブとして2019年に立ち上げた、入出金、郷里送金、各種支払いなどを行うMFS(モバイルファイナンスサービス、2021年6月23日付地域・分析レポート参照)のプラットフォーム。同社は、現在8,500万人を超えるユーザーを有するユニコーン(評価額が10億ドル以上の未公開企業)とされる。

デジタル銀行は、キャッシュレス取引の利用促進や、国民全員への基本的な金融サービスの提供(ファイナンシャル・インクルージョン)を実現するため、2023年6月に政府の新たな構想としてガイドラインが制定された(2023年6月22日記事参照)。現地報道によると、その開設申請の期限までに既存の銀行、MFSプロバイダー、フードデリバリー、ライドシェア、IT企業など約500社から申請がなされ、ノゴドに加え、同国のMFS最大手のビーキャッシュ(bKash)を有するブラック・バンク(BRAC Bank)、バンク・アジア(Bank Asia)のほか、10の民間商業銀行から成るグループ(DG-10)などの動向も報じられている(「フィナンシャル・エキスプレス」紙10月23日)。

今般のプレスリリースによると、ノゴドは(上述のガイドラインが制定されるまで)政府に対し3年間にわたり、バングラデシュにおけるデジタル銀行の導入を要請していたという。同社の創業者であるタンビール・ミシュク・マネージングディレクターは「当社は本日、中銀より、バングラデシュ第1号となるデジタル銀行開設の承認を得られた。同銀行サービスにより、さまざまな事情で従来の銀行が利用できない国民に対し、無担保による低利子(シングル・ディジット)ローンなどを通じて日々のニーズに応えていくことで、政府の掲げるIT支援政策、『スマート・バングラデシュ』(「世界は今―JETRO Global Eye」シリーズ 変わるバングラデシュ ‐露店もキャッシュレスで‐参照)の実現にも貢献していく」とし、今後、同銀行の設立・サービス開始に向けた準備が進められる。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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