中銀、デジタル銀行設立に係るガイドライン発表

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年06月22日

バングラデシュ中央銀行は615日、デジタル銀行の設立に係るガイドラインを発表し、併せて一般の銀行業に対する最低払込資本金を従来の40億タカ(約52億円、1タカ=約1.3円)から50億タカに引き上げる規制強化も発表した。同ガイドラインによりデジタル銀行の設立を進めることで、キャッシュレス取引の利用を促進するとともに、金融包摂(注)の実現に資する狙いがある。

同ガイドラインによると、デジタル銀行を設立する上での最低払込資本金は原則125,000万タカとなっており、一般の銀行設立に必要な同50億タカに比べれば、設立のハードルが低く設定されている。他方、同ガイドラインは、従来の銀行業法(Bank Company Act)と中央銀行が随時発出する関連通達などに依拠するものとされ、払込資本金は既存の国内商業銀行口座で現金で手配する必要がある。設立後5年以内に株式公開(IPO)を行う必要もあり、設立時の1つのハードルとなる可能性がある。

デジタル銀行は支店や代理店、窓口、ATMなどを自行で持つことはできず、仮想カードやQRコードなどを利用して顧客の取引を行うことになる。外貨取引については認定ディーラーライセンスを取得することを条件に、貿易決済と銀行保証サービスを除き、郷里送金の入金や対外支払いなどの取引を行うことが可能だ。取引にまつわる紛争の解決用に人工知能(AI)技術ベースのメカニズムを導入することなど、ガイドラインはデジタル技術やICTに関するルールについても言及している。

バングラデシュでは「ビーキャッシュ(bKash)」などのモバイル・ファイナンス・サービス(MFS)の利用が急速に拡大しているものの、既存の形態では提供できるデジタルサービスに限りがあるとの見方もある(2021年11月24日記事参照2023年4月27日記事参照)。今回のガイドラインの制定を受けて、そのようなMFSや情報通信技術(ICT)関連企業などが今後デジタル銀行の設立に動き、銀行取引のキャッシュレス化が進む可能性がある。

(注)ファイナンシャル・インクルージョン。国民全員が基本的な金融サービスを受けられること。

(薄木裕也)

(バングラデシュ)

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