米ハートランド水素ハブ、バイデン政権の7つの水素ハブの1つに選定

(米国)

シカゴ発

2023年10月31日

米国のバイデン政権が10月13日に発表した国内7カ所の水素ハブ(2023年10月16日記事参照)の1つに、ハートランド水素ハブ(Heartland Hydrogen Hub)が選定された。連邦政府の支援額は最大9億2,500万ドル。ハブ設置計画はノースダコタ州、サウスダコタ州、ミネソタ州にまたがり、周辺の州への拡大の可能性もある。同ハブの設置により、この地域の豊富なエネルギー資源を活用し、農業部門の肥料生産の脱炭素化とクリーン水素の地域コストの削減に貢献するとともに、クリーンな水素を発電に利用することも提案している。このハブの取り組みによって、年間約100万トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減することができるとしており、ガソリン自動車22万台分の年間排出量に匹敵するという。

また、同ハブは先住民のマンダン、ヒダツァ、アリカラ族と、地元の農家や農業協同組合に対して、民間セクターとの提携を通じて独自の株式所有の機会を提供する計画で、これによって、クリーンな肥料をより競争力のある価格で購入できるような仕組みを作る予定だ。

ハートランド水素ハブの開発は、ノースダコタ大学エネルギー・環境研究センター(EERC)や、石油精製・販売のマラソン・ペトロリアム(本社:オハイオ州)、エネルギー輸送インフラ大手のTCエナジー(本社:カナダ)、電気・天然ガスサービスのエクセル・エナジー(本社:ミネソタ州)が主導している。マラソン・ペトロリアムとTCエナジーは現在、ノースダコタ州で工業用、アンモニア系肥料用、天然ガス混合用のクリーン水素を製造するために提携しており、マンダン、ヒダツァ、アリカラ族と米州住友商事(注)とも協力するという。

(注)ノースダコタ州と米州住友商事は2022年10月7日に、持続可能な航空燃料サプライチェーン開発、CO2回収・貯留(CCS)/CO2回収・有効利用・貯留(CCUS)プロジェクト開発、水素/アンモニアサプライチェーン開発などでパートナーシップを構築する覚書を締結している(2022年10月4日記事参照)。

(星野香織)

(米国)

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