米ノースダコタ州投資セミナーを東京で開催、知事はイノベーションによるカーボンニュートラル実現を強調

(米国、日本)

米州課

2022年10月04日

ジェトロは10月3日、米国ノースダコタ州と共催で、ノースダコタ州ビジネス・投資セミナーを東京で開催した。

ジェトロの佐々木伸彦理事長は開会あいさつで、同州は2030年までのカーボンニュートラル実現を目指しており、技術面で日本企業との連携を重視していると紹介。同州企業による対日投資も歓迎したいと述べ、日本と米国の双方向の投資に期待を示した。ジェトロの根本裕之シカゴ事務所長は同州を含む米国中西部について、穀物地帯でありながら、そのほかの特定産業も多く集積していることが特徴だと述べた。また、相談しやすくフレンドリーな同州のビジネス環境について、企業の事例も交えながら紹介した。

基調講演を行ったダグ・バーガム知事(共和党)は、自ら立ち上げたスタートアップがマイクロソフトに買収され、その後、マイクロソフトの上級副社長を務めた経歴を持つ。バーガム知事は今回の基調講演を「日本企業に対する招待状だと思ってほしい」と語り、新型コロナウイルス感染拡大後、初めての州代表団の訪問が日本になったことを強調した。また、ロシアによるウクライナ侵攻や中国と台湾の問題を例に挙げ、「信頼できるパートナーがより重要になっている」として、同州企業と日本企業の連携を進めたいと述べた。同州が目指す2030年までのカーボンニュートラルについては、規制よりもイノベーションを促進することが重要と主張し、2027年までに年30万トン超の水素を生産する水素ハブ事業開始にも意欲を見せた。さらに、ノースダコタ州は米国で唯一、大型の無人航空機を広範囲に飛行試験できる州だと紹介した。

写真 講演するバーガム知事(ジェトロ撮影)

講演するバーガム知事(ジェトロ撮影)

ノースダコタ州で事業の拡大を図る日本企業として、米国住友商事の米州エネルギーイノベーション・イニシアチブで企業戦略ユニット長を務める山川太一氏が登壇した。山川氏は同州について「民間企業の事業活動をここまで親身になってサポートしてくれる州は、自分の経験上で聞いたことがない」と述べ、同州の魅力を語った。また、広範な領域で協業を進めるため、米国住友商事と同州が2022年9月に覚書(MOU)を締結したことを明らかにした。さらに、同州は二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)に適した地盤を持っており、2022年8月に連邦議会で成立したインフレ削減法(2022年8月17日記事参照)はこれらの事業開発の強い追い風となると述べた。

その後、ノースダコタ州代表団の一員として訪日した以下の企業・団体が紹介された。いずれも農業やエネルギー分野で先進的な取り組みを行っているという。

  • ミンコタ・パワー・コーポレーティブ(Minnkota Power Cooperative)
  • ベイスン・エレクトリック・パワー(Basin Electric Power)
  • バッケン・エナジー(Bakken Energy)
  • ウェルスプリング・ハイドロ(Wellspring Hydro)
  • グランド・ファーム研究教育イニシアチブ(Grand Farm Research and Education Initiative)
  • ジェネシス・フィード・テクノロジーズ(Genesis Feed Technologies)

(片岡一生)

(米国、日本)

ビジネス短信 9eda2eb3b6d30d22