世界最大のカカオ生産国、新年度の出荷が開始

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年10月16日

世界最大のカカオ豆生産国であるコートジボワールで10月1日から、2023/2024収穫年度(2023年10月1日~2024年9月30日)のカカオ豆出荷が始まった。コベナン・クアシ・アジュマニ農業・農村開発相は9月30日、新収穫年度のメインクロップ(2023年10月~2024年3月)の生産者買い上げ保証価格を1キログラム当たり900CFAフラン(約216円、1CFAフラン=約0.24円)だった前年度の価格から11%引き上げ、1,000CFAフランに設定したと発表した。

同相によると、生産者に適正な収入を保証する政策(注)が実施されており、2022/2023収穫年度のカカオ生産者の収入は2兆90億CFAフランで、前年度比12.9%の増加となった。2023/2024収穫年度は2022/2023収穫年度から2,100億CFAフランの増収が見込まれるという。一方で、現地の報道によると、2023/2024収穫年度のカカオ豆生産量は180万トン前後と前年度比で20%減少するとみられている(2023年7月21日記事参照)。

なお、コートジボワール政府は現在、持続可能なカカオ産業の構築に取り組んでいる。特に欧州ではカカオ、コーヒー、パーム油など特定の商品作物などを対象とする森林破壊防止のデューディリジェンスの義務化に関する規則が2023年6月に発効し、森林伐採や森林劣化が行われていない農地で生産された商品のみがEU市場での販売やEUからの輸出が許可されることになる(2023年6月13日記事参照)。対象は特定の作物のほか、チョコレートなど多くの派生製品にも及ぶ。これら産品のトレーサビリティーの確保など早急な対応に迫られており、今後、EUを最大の貿易相手とするコートジボワールのカカオ輸出にも大きな影響が懸念される。

このような国際的な動きを受け、政府は9月13日、新年度の出荷開始を前に「コーヒー・カカオ・トレーサビリティシステム」の導入を決定した。農園から輸出港までの生産・流通プロセスを追跡可能にし、持続可能性に関する基準の順守とともに産品の品質を確保することを目的としている。2023年2月からコーヒー・カカオ評議会(CCC)が先行して国内のコーヒー・カカオ農家に対し「電子身分証」の交付を行っており、システムの稼働が待たれていた(2023年2月24日記事参照)。

(注)コートジボワールでは2012年以降、CIF価格の少なくとも60%を生産者に保証する安定化システムを導入している。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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