天候不順による供給懸念からカカオ豆の先物販売停止

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年07月21日

コートジボワールの現地報道によると、世界最大のカカオ豆生産国の同国は7月13日、2023/2024カカオ収穫年度(2023年10月1日~2024年9月30日)に収穫・出荷されるカカオ豆の取引について、供給への懸念から先物販売を一時停止することを発表した。停止前の販売量は既に100万トンを超えており、予想される生産量(220万トン)の約半分に達していた。

同国では5月半ばごろから7月にかけて、例年を上回る大雨によって一部のカカオ農園が洪水に見舞われ、10月から収穫期に入るカカオ豆の生育への影響が懸念されている。コートジボワール・コーヒー・カカオ評議会(CCC)のイブ・ブライマ・コネ理事長は「メインクロップ(2023年10月1日~2024年3月31日)の前半期には、生産量がかなり減少することが予想される(注1)。1~3月の後半期に生産回復を期待しているが、長期の多湿条件下で発生するブラックポッド病(注2)の脅威もあり、生産が減る懸念が広がっている。また、供給懸念による今回の取引停止で、生産国のコートジボワールだけでなく、カーギル、オラムといった大手農産物商社や、バリー・カレボー、ハーシー、ネスレといったチョコレートメーカーなどの買い手にとっても打撃となるだろう」との見解を示した。CCCによると、ブラックポッド病による被害は既に多くの農園に広がっており、早急に対策を講じるため専門家によるチームを立ち上げたという。

カカオ豆の世界生産の約4割強を占めるコートジボワールをはじめ、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンなどの主要生産国も豪雨の影響を受けた。そのため、西アフリカからの供給懸念により、カカオ豆の国際価格が上昇しており、ロンドンのインターコンチネンタル取引所(ICE)で6月28日、カカオ先物価格が1トン2,590ポンド(約46万6,200円、1ポンド=約180円)と、1977年以来の高値を付けた(注3)。

国際カカオ機関(ICCO)が5月に発表した予測では、2022/2023年度のカカオ豆市場は14万2,000トンの供給不足となる見通しだ。

(注1)年に2回収穫をする時期があり、それぞれ「メインクロップ(10月1日~3月31日)」と「ミッドクロップ(4月1日~9月30日)」と呼ばれている。

(注2)カカオポッド(実)がカビにより黒く変色し腐ってしまう主要な病害の1つ。

(注3)1977年のカカオ先物価格は1トン当たり2,594ポンド。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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