8月のカナダ消費者物価指数、前年同月比4.0%上昇
(カナダ)
トロント発
2023年09月20日
カナダ統計局が9月19日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.0%上昇と、7月の上昇率(3.3%、2023年7月19日記事参照)を0.7ポイント上回った(添付資料表参照)。
品目別では、ガソリン価格が前年同月比0.8%上昇と、7月(12.9%下落)から大きく上昇した。上昇はベース効果(注)が一因で、2022年8月の価格は世界的な原油生産量の増加と精製マージンの低下により、前月比で9.6%下落していたのに対し、2023年8月の価格は主要産油国における生産量カットに伴う原油価格上昇により、前月比で4.6%上昇したことによる。
また、住居関連費用は7月の前年同月比5.1%上昇に続き、8月は6.0%上昇した。上昇を牽引したのは家賃で、7月の5.5%上昇に続き、8月は6.5%上昇した。統計局は、金利上昇に伴って住宅購入の障壁が高まり、家賃上昇につながっている可能性を指摘した。住宅ローン金利コストも住居関連費用の上昇に寄与し、7月の30.6%上昇に続いて8月は30.9%上昇した。
食料品は前年同月比6.8%上昇と7月(7.8%上昇)に比べて伸びは軟化したものの、高止まりが続いている。このうち、家庭用食品は7月の8.5%上昇から、8月は6.9%上昇となった。
発表を受けて同日、CIBCキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は「9月に入り原油価格が一段と上昇していることから、当面のインフレ率は減速するよりもやや加速する可能性が高い。第3四半期のインフレ率は平均3.8%程度になるとみられ、カナダ中央銀行が7月の金融政策報告書で発表した3.3%の予想を大幅に上回る。これは、7月の予想ではWTI原油価格が1バレル当たり75ドルという、現在の価格を大幅に下回る水準が前提となっていたことも一因だが、基調的なインフレ圧力も中銀の予想よりも強く、(中銀の)政策担当者は今後の会合で厳しい決断を迫られることになるだろう。個人消費の低迷が続き、失業率が当行の予想どおり上昇を続けるなら、強いインフレが現在、背景にあるとはいえ、中銀は追加利上げを控えるものと予想する」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ9月19日)。
中銀の次回政策金利の発表は10月25日に予定されている。
(注)時系列データを用いて前期比、前年同期比といった変化率の推移を算出する際に、算出する基準となる時点が変化したことが要因で変化率の推移に影響を及ぼすこと。
(飯田洋子)
(カナダ)
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