米北東部などの医薬品・医療機器関連3プロジェクト、バイデン政権のテックハブに選定

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月27日

米国のバイデン政権が10月23日に発表した国内31カ所のテックハブ(2023年10月24日記事参照)の一部として、医薬品・医療機器関連で、北東部やプエルトリコの3プロジェクトが選定された。

このプロジェクトは、先進医薬品製造テックハブ(Advanced Pharmaceutical Manufacturing Tech Hub:バージニア州)、リージェン・バレー・テックハブ(ReGen Valley Tech Hub:ニューハンプシャー州)、PRバイオ・テックハブ(PRBio Tech Hub:プエルトリコ)の3つ。

先進医薬品製造テックハブは、非営利団体のCCAM(Commonwealth Center for Advanced Manufacturing)が主導し、連続生産(注1)やハイブリッド生産(注2)といった先進的な製造技術を用いることで、安全で手頃な価格の医薬品を製造し、米国の医薬品製造業の成長やイノベーション、持続可能性の向上につなげることを目指している。

リージェン・バレー・テックハブは、ARMI(Advanced Regenerative Manufacturing Institute)が主導し、慢性疾患や臓器不全に対処する費用対効果の高い再生医療を生み出すことを目指している。

上記2つのハブが所在する地域は、2022年のビルド・バック・ベター・リージョナル・チャレンジプログラムでも、バイオテクノロジー・ヘルス部門で選定されており、今回の選定により、これらの地域での取り組みが一層加速すると期待される

PRバイオ・テックハブは、プエルトリコ科学技術研究トラストが主導し、次世代の医療機器の開発や製造、供給などを迅速に進め、バイオテクノロジーの世界的リーダーとしてこの地域を発展させることを目指している。プエルトリコは医療機器工場やバイオ医薬品工場が集積しており(2020年7月17日付地域・分析レポート参照)、こうしたハード面の資産や医薬品開発での産学連携の強さ、医薬品に関する新しいビジネスをサポートするインキュベーターの存在といったソフト面の資産を最大限活用しながら取り組みを進めていく方針だ。

先進医薬品製造テックハブの所在するバージニア州のマーク・ワーナー上院議員(民主党)はテックハブへの選定を受け、「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)は、リッチモンド・ピーターズバーグ地域の高度な医薬品製造技術ハブ創出を支援し、バージニア州に大きな成果をもたらしている。今日の発表は、バージニア州の人々に21世紀の雇用を創出しながら、米国の製薬産業を後押しするのに役立つだろう」と述べるなど、選定地域からは歓迎のコメントが寄せられている。

(注1)秤量(ひょうりょう)、混合、打錠といった各工程を個別に行うのではなく、一貫した工程として加工し、製品を製造する方式。日本ジェネリック製薬協会によると、従来行われていたバッチ方式と比較して、(1)各工程がつながって連続化しており、人が関わる作業が少なくなるため、人的エラーが減り、製品の品質が向上するとともに、コストを削減できる、(2)製造機器のサイズを変更することなく生産量を調整できる、(3)製造機器の稼働時間を変更することで生産量を調整できるため、需要の変動に応じた生産計画の変更に柔軟に対応できるといったメリットがあるとされる。

(注2)バッチ方式での生産と連続生産を組み合わせて製品を製造する方式。

(加藤翔一)

(米国)

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