インドへのiPhone生産移管進む、「15」は当初から市場投入

(インド)

チェンナイ発

2023年10月24日

インドでは、米国アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)15」が、発売時当初から同国製モデルとして市場に出回る初の機種となったことが、話題となっている。同機種は922日に販売が始まり、SNSにインド製を入手したという投稿も増え始めた。過去の機種では、iPhone14が発表から20日程度、iPhone13が発表から半年以上遅れてインド生産が始まっていた(2022106日記事参照)。よって、iPhone15より発売当初からのインドでの生産開始という体制が順調に整いつつあるとみられる。

現地メディアが伝えるところによると、米国銀行大手バンク・オブ・アメリカは、全世界のiPhone生産のうち、インド製の占める割合は2022/2023年度(20224月~20233月)に7%だったが、2024/2025年度には18%まで拡大するとだろうと指摘(「ライブ・ミント」613日)。同行では、現在iPhoneを生産する中国とベトナムに比べ、インド生産による付加価値の割合は低いものの、両国でも当初は付加価値よりも生産規模に注力したことで、長期的に付加価値が高まった点を指摘している。

写真 拡張が進むチェンナイ近郊のフォックスコンの工場用地(2023年10月9日、ジェトロ撮影)

拡張が進むチェンナイ近郊のフォックスコンの工場用地(2023年10月9日、ジェトロ撮影)

インド財閥マヒンドラ・グループ会長のアナンド・マヒンドラ氏は自身のX(旧ツイッター)に、インド製モデルを保有していることを「誇りに思う」と投稿し、最新機種を購入したもようだ(「ライブ・ミント」10月20日)。

一方、現地報道では、インドでの組み立てを行っているにもかかわらず、インドでの販売価格が他国と比べて高いことも話題になっている。

そのほか、iPhoneに関する現地報道コメントは次のとおり。

  • インドでのiPhoneの販売規模が他国と比べて小さく、また販売の主軸は旧型モデルだ(「タイムズ・オブ・インディア」紙9月14日)。
  • インドでの生産コストは、インド政府の補助金を加味しても中国に比べて7~8%高い(「ビジネス・スタンダード」紙9月30日)。
  • 主要部品への輸入関税により、7~8%のコスト上昇となる(「ビジネス・スタンダード」紙9月30日)。
  • インドでのiPhone生産は中国に集中するサプライチェーンの多様化が目的で、販売価格の低下にはつながらない(「フィナンシャル・エクスプレス」紙9月15日)。

(浜崎翔太)

(インド)

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