ASEANサミット開催、第四ASEAN協和宣言を採択
(ASEAN)
バンコク発
2023年09月08日
第43回ASEANサミットと関連会合が9月5日から7日にかけて、ジャカルタで開催された。一連の会合の議長はジョコ・ウィドド大統領が務めた。同大統領の声明によると、3日間で12のサミットが開催され、90の成果文書・合意が発表された。
議長声明によると、ASEAN共同体関連では、「ASEAN共同体ビジョン2025」の完全かつ効果的な実施に向けた努力の継続、「ASEAN共同体ブループリント2025」と「ASEAN連結性マスタープラン(MPAC)2025」の中間評価の確認が合意された。また、2026年の議長国をフィリピンが務める(ミャンマーが辞退)することや、ジャカルタにあるASEAN関連施設を「ASEAN本部」に改称することを決定した。
また、「第四ASEAN協和宣言」が発表された。ASEANは1976年、2003年、2011年にそれぞれASEANの方向性を決定する協和宣言を発表したが、これらに続く重要文書となる。ASEAN・インド太平洋地域でのASEANの中心性の維持、ASEAN加盟国の団結、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の実施に向けた共同コミットメントなどが盛り込まれたほか、ASEAN共同体の3つの柱(ASEAN政治・安全保障共同体:APSC、ASEAN経済共同体:AEC、ASEAN社会・文化共同体:ASCC)でのASEAN加盟国間や外部パートナーとの協力、「ASEAN共同体ビジョン2045」の重要性などが強調されている。
「ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)」については、サミットに先立つ9月3日の第23回AEC評議会で交渉開始に合意し、各国首脳がこれを追認・歓迎した。交渉範囲はデジタル貿易や越境電子商取引(EC)、支払いと電子インボイス、デジタルIDと認証、オンライン安全性とサイバーセキュリティー、越境データフローとデータ保護、競争政策、人工知能(AI)など新たなテーマの技術革新や規格・規制の協力、デジタル人材の流動性と協力などだ。
ミャンマーについては、同国での継続的な暴力行為について強く非難した。また、2021年4月の「5項目の合意事項」(2021年4月27日記事参照)についてレビューし、ミャンマー当局が同5項目の実施を約束したにもかかわらず、進展がみられないことに重大な懸念を示した。
南シナ海については、一部のASEAN加盟国が同地域での埋め立てや活動、重大な事件について懸念を表明した。南シナ海における全ての国の全活動の実施で非軍事化と自制の重要性を強調した。
(北見創)
(ASEAN)
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