フィリピン、韓国との自由貿易協定に署名

(フィリピン、韓国)

マニラ発

2023年09月19日

フィリピン政府は9月8日、9月7日に韓国との自由貿易協定(FTA)に署名を行ったことを発表した(政府通信社9月8日付)。韓国とのFTAは、2019年6月にロドリゴ・ドゥテルテ前大統領がイニシアチブをとり、締結に向けた交渉が開始した。フィリピンにとって、2006年に署名された「日・フィリピン経済連携協定」に次ぎ、2番目の2国間FTAとなる(2021年11月1日記事参照)。

韓国とのFTAでは、品目ベースでフィリピン側の譲許率は96.5%、韓国側の譲許率は94.8%となる。FTAの内容は、政府発表から次のとおり。

【フィリピンから韓国への輸出】

  • バナナについて、現在、韓国側で30%の関税率を課されている。FTA発効後、5年以内に関税を撤廃する。
  • パイナップル缶詰について、現在、韓国側で36%の関税率を課されている。FTA発効後、7年以内に関税を撤廃する。

【韓国からフィリピンへの輸出】

  • 自動車について、現在、フィリピン側で5%の関税率を課されている。FTA発効後、即時関税撤廃する。
  • 自動車部品について、現在、フィリピン側で最大で30%の関税率が課されている。FTA発効後、5年以内に関税を撤廃する。
  • 韓国産の加工食品(関税率は5~10%)、高麗人参(同5%)、胡椒(こしょう)(同5%)、梨(同7%)、サバ(同5%)の関税について、15年以内に撤廃を行う。

フィリピン側での発効までの手続きについて、まず、フィリピン外務省(DFA)において、FTAが条約あるいは行政協定のいずれに該当するのか、決定を行う。その後、条約・行政協定いずれの場合も大統領府に送付され、大統領による批准を経る。行政協定の場合は、大統領の批准をもって発効となる。FTAが条約に該当する場合は、加えて、上院の同意を経て発効となるため、行政協定の場合と比較すると発効までに時間を要する可能性がある。なお、在フィリピン韓国大使館は、両国での手続きの進捗によるとしつつ、「2024年前半でのFTA発効を見込む」との声明を出している(政府通信社8月8日付)。

(吉田暁彦、アセンシオ・アシュレイモイラ)

(フィリピン、韓国)

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