フィリピンと韓国の自由貿易協定に関する交渉が妥結

(フィリピン、韓国)

マニラ発

2021年11月01日

フィリピン政府は10月26日、韓国との自由貿易協定(FTA)に関する交渉が妥結したと発表した。また、同日に行われたASEANと韓国との首脳会議に先立ち、両国による共同声明への署名が行われた。韓国とのFTAは、2019年6月にドゥテルテ大統領がイニシアチブを取り、締結に向けた交渉が開始した。フィリピンにとって、2006年に署名された「日・フィリピン経済連携協定」に次ぎ、2番目の2国間FTAとなる。

韓国とのFTAでは、品目ベースでフィリピン側の譲許率は96.5%、韓国側の譲許率は94.8%となる(「ビジネス・ワールド」紙2021年10月27日)。妥結内容の概要は、政府発表や現地報道から以下のとおり。

【フィリピンから韓国への輸出】

  • バナナについて、韓国側での30%の関税率を2022年から毎年6%ずつ低減させていく。2026年にはバナナへの関税が撤廃される。ただし、韓国での輸入急増時に、韓国政府によるセーフガード導入が認められている。また、最近の輸入量を基準に、年度別の基準輸入量を超過する場合、FTA発効初年度から10年間の時限措置として、最大30%の関税を上乗せできる措置を講ずることが可能。
  • パイナップル缶詰について、7年間で関税が撤廃。
  • そのほか、フィリピン産のオクラ、パパイア、ココナッツオイル、カシューナッツ、フルーツジュースも関税撤廃対象。

【韓国からフィリピンへの輸出】

  • 韓国産の自動車や一部の自動車部品について、フィリピンでの関税を撤廃。貨物用車両および自動車は、即時関税撤廃(注1)に加え、ハイブリッド車なども、5年間で関税を撤廃する。自動車部品(関税率3~30%)は、最大5年間で関税撤廃。
  • プラスチック製品、文具、加工食品(注2)など、韓国の中小企業が生産する製品の関税を15年間で撤廃。
  • 農産品は、高麗ニンジン、唐辛子、梨、サバ(注3)などが15年間で関税撤廃。

なお、グローバル・トレード・アトラスによると、フィリピンと韓国の2020年の貿易額は92億1,817万ドルで、フィリピンにとって5番目に貿易額が大きい国だ(最も貿易額が大きいのは、中国の294億9,558万ドル)。

(注1)韓‐ASEAN FTAおよびRCEP(地域的な包括的経済連携協定)の特恵関税税率は5%。

(注2)プラスチック製品および文具類は5%、加工食品は5~15%の関税率。

(注3)高麗ニンジン、唐辛子およびサバは5%、梨は7%の関税率。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン、韓国)

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