温室効果ガス自主的排出削減取引管理弁法が可決、年間取引額は1兆元の見通し

(中国)

調査部中国北アジア課

2023年09月22日

中国の生態環境部は9月15日に開かれた会議で、「温室効果ガス自主的排出削減取引管理弁法(試行)」を可決したと発表した。同弁法については、2023年7月7日から8月6日までパブリックコメントが募集されていた(2023年7月14日記事参照)。

会議では、同弁法は自主的排出削減量取引市場(ボランタリー市場、注1)の基本的な枠組みを規定する包括的な文書で、ボランタリー市場の立ち上げと運営に大きな意義があることが強調された。

また、全国統一のボランタリー市場の構築は、市場メカニズムの利用による炭素削減と吸収を促進することでカーボンピークアウト・カーボンニュートラルを着実に推進し、社会全体が温室効果ガス排出削減の活動に取り組むための重要な制度改革だとした。同弁法公布後は、全国統一のボランタリー市場の立ち上げ準備を進めるために、積極的に宣伝活動や、地方への指導や研修を強化するとした。さらに、ボランタリー市場の制度を速やかに整備し、プロジェクトの設計や実施細則、プロジェクトの審査・検証規則、登録・取引規則などの管理制度を発表することについても言及があった。

北京グリーン取引所によると、同弁法が施行され、新規プロジェクトの中国認証排出削減量(CCER、注2)の認証・発行が再開されれば、現在の中国炭素市場規模(年間7億~8億トン)を踏まえると、今後の炭素市場の取引額は1兆元(約20兆円、1元=約20円)を超えると予想されている(「証券日報」9月17日)。

(注1)企業や個人が自主的に温室効果ガス排出の削減・抑制などに取り組み、その結果として削減された温室効果ガスの量をクレジットとして認証し、そのクレジットを自主的に売買する市場を指す。

(注2)CCERは、中国のボランタリー市場の主要な商品で、プロジェクト単位で発行される。プロジェクトには、再生可能エネルギー、炭素隔離、メタン排出削減、省エネルギー効率の向上などがある。なお、ジェトロ作成の「中国における脱炭素に向けた取り組み・方法に関する調査(2023年3月)」に関連情報の記載がある。

(富永笑美子)

(中国)

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