上半期の製造業向け外国投資認可額、前年同期比5.7%減も、全体では通年目標を達成見込み

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年09月28日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は9月17日、2023年上半期(1~6月)の国内外投資を含む投資認可総額が前年同期比1.3%減の1,325億6,680万リンギ(約4兆2,421億円、1リンギ=約32円)だったと発表した。うち、サービス業が62.1%、製造業が33.9%、農業などの第一次産業が4.0%を占めた。

ジェトロが9月20日にMIDAから別途入手したデータによると、2023年上半期の製造業の外国投資認可額は前年同期比5.7%減の338億6,849万リンギだった。

業種別にみると、電気・電子製品の不振〔第1四半期(1~3月)の前年同期比87.4%減の20億1,729万リンギ〕から回復に向かい、121億8,685万リンギを記録した。ただし、上半期の前年同期比では33.8%減と、減少幅が前期から縮小したものの、依然として前年の水準を下回る状況が続いている(添付資料表1参照)。次いで、機械装置が9.3倍の94億7,846万リンギ、輸送機器が14.1倍の42億8,389万リンギ、基礎金属製品が20.0倍の23億95万リンギといずれも急増した。一方、非金属鉱物は50.8%減の22億1,412万リンギと振るわなかった。これら上位5業種が全体の約9割を占めた。

MIDAの発表によると、製造業の外国投資案件のうち、拡大・多角化案件が51.9%を占めた。さらにそのうち、電気・電子製品が58.1%を占めた。例として、米国のテキサス・インスツルメンツによる半導体デバイスと高性能集積アナログ回路の製造拠点設立(74億リンギ)が挙げられた。業種別で第2位の機械装置では、日本による投資案件3件が全体の7割弱を占めた。3位の輸送機器と4位の基礎金属製品については、第1四半期の中国と韓国による大型投資案件がそれぞれ寄与した(2023年7月18日記事参照)。

国・地域別では、オランダが84億677万リンギ(9件)で首位だった(添付資料表2参照)。同国による具体的な投資案件は公開されていないが、MIDAから入手したデータによると、74億3,448万リンギ相当の電気・電子製品関連投資1件が同国による投資認可額総額の9割弱を占めたことが分かった。次いで、日本が76億6,677万リンギ(17件)、中国が62億3,398万リンギ(24件)、香港が28億4,542万リンギ(14件)、シンガポールが26億160万リンギ(53件)と続いた。表2の上位10カ国・地域で、製造業の外国投資認可額全体の97.6%を占めた。

日本による製造業投資認可案件は76億6,677万リンギ(17件、前年同期比2.4倍)で、国・地域別で2位に浮上した。内訳をみると、機械装置が65億115万リンギ(3件、前年同期比29.8倍)で全体の84.8%を占めた。次いで、電気・電子製品が9億8,780万リンギ(2件、27.5%増)、金属加工品が1億1,814万リンギ(4件、11.5倍)、輸送機器が3,247万リンギ(3件、前年は実績なし)、化学・同製品が1,614万リンギ(2件、32.0%減)と続いた(添付資料表3参照)。第2四半期(4~6月)中の報道や各社リリースによると、日本からの主な投資案件として、抵抗器メーカーのKOA電工による厚膜チップ抵抗器のマラッカ工場増設、空気圧機器メーカーのCKDによる新工場建設が挙げられた。

MITIは通年目標の達成に自信

テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相は5月末、貿易・投資促進使節団を率いて日本を訪問し、231億リンギ相当の投資を確保したと表明した。MIDAの発表によると、電気自動車(EV)関連部品、電気・電子製品、機械部品、ESG(環境・社会・ガバナンス)、金属、化学・同製品の分野に焦点を当て、さまざまな企業と会談した。

同大臣は今回の発表で、上半期の国内外投資を含む投資認可総額が年間目標の60.3%に到達し、下半期にはさらに力強い拡大を見込んでいるとした。また「アジアの拠点拡大を目指す企業がマレーシアを地域ハブとして位置づけるよう、新産業マスタープラン(NIMP2023)を発表した(2023年9月7日記事参照)。NIMP2023は、持続可能な産業変革と国際競争力の強化に向けた重要な一歩だ」と強調した。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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