第1四半期の製造業の外国投資認可額、前年同期比5割減、電気・電子の勢いに陰り

(マレーシア、日本)

クアラルンプール発

2023年07月18日

ジェトロが74日にマレーシア投資開発庁(MIDA)から入手したデータによると、2023年第1四半期(13月)の製造業の外国投資認可額は、前年同期比49.5%減の126213万リンギ(約3,781億円、1リンギ=約30円)だった。

業種別にみると、近年最大のシェアを維持していた電気・電子製品が前年同期比87.4%減の201,729万リンギで、縮小が顕著だった。一方、輸送機器や基礎金属製品で大型投資案件があった。特に輸送機器は前年同期比144.5倍の425,299万リンギで、全体の3割強を占めた(添付資料表1参照)。MIDAによると、中国のEVEエナジーによるリチウム電池工場新設(42億リンギ相当)がほとんどを占めた。基礎金属製品は45.3倍の2395万リンギだった。韓国ロッテEMマレーシア(旧IMMテクノロジー)によるリチウム電池用電解銅箔(どうはく)の生産拡張(23億リンギ相当)が寄与した。機械装置は4.0倍の185,992万リンギ、非金属鉱物は17.8%減の152,650万リンギだった。

国・地域別では、1位が中国(427,312万リンギ、5件)、2位が韓国(246,656万リンギ、5件)だった(添付資料表2参照)。両国とも前述の大型案件が寄与した。次いで、米国が10.7%減の18256万リンギ(7件)、香港が49.9%減の161,937万リンギ(4件)、シンガポールが85.6%増の99,822万リンギ(18件)と続いた。

日本の製造業投資認可は2261万リンギ(9件、前年同期比93.3%減)だった。内訳をみると、金属加工品が7,814万リンギ(3件、前年は実績なし)で首位だった(添付資料表3参照)。次いで、電気・電子製品が7,500万リンギ(90.3%減)、輸送機器が3,247万リンギ(3件、前年は実績なし)、化学・同製品が1,600万リンギ(32.6%減)、基礎金属製品が101万リンギ(94.6%減)と続いた。日本からの主な投資案件として、TOWAによるマレーシアK-Tool 社の金型製造事業の譲り受けと、その受け皿となる製造子会社を設立する案件があった。

サービス業の外国投資認可額は増加傾向

製造業の外国投資認可額は半減した一方、MIDAが管轄しているサービス業の外国投資認可額は14.9倍の233,211万リンギに拡大した。特に情報通信が218,538万リンギ(2件、前年実績なし)で、サービス業の9割以上を占めた。MIDAによると、中国のGDS IDCサービスによる大型データセンターの設立案件が挙げられた。マレーシアではデータセンターの投資発表が相次いでおり、1月にオーストラリアのエアトランク(投資額不明)、3月に米国のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS2037年までに最低255億リンギ相当を投資)が計画を発表した。

中国、今後1,700億リンギ相当の投資表明

投資貿易産業省(MITI)のテンク・ザフルル・アジズ大臣は13月に、貿易・投資促進使節団を率いてイタリア、韓国、中国を訪問した。マレーシア政府は訪問を通じて、イタリアから総額約32億リンギ、韓国から240億リンギ、中国から1,700億リンギ相当の投資を確保したと表明している。特に中国からの巨額投資が実現すれば、イノベーション、インフラ、観光分野の進展が期待され、マレーシア経済に大きな変革をもたらすだろうと、マレーシアの私立大学テイラーズ・ビジネス・スクールのウマ・ムーティー会計財務学部講師は述べている。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア、日本)

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