米下院の中国特別委員会、中国の日本産水産物輸入停止措置を非難する声明発表

(米国、中国、日本)

ニューヨーク発

2023年09月19日

米国下院の中国特別委員会で委員長を務める共和党のマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州)と、同委員会で民主党トップのラジャ・クリシュナムルティ議員(イリノイ州)は9月14日、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水放出に関して中国が行っている水産物の輸入規制を非難する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。

声明では、「国際原子力機関(IAEA)と米国食品医薬品局(FDA)の安全性審査に照らせば、これらの措置は威圧的で何のメリットもない。これはわれわれが世界中で見てきた中国の悪意ある経済的な威圧の1つの例で、日本の水産業に損害を与えることを目的とするものだ」とし、中国による日本の水産物に対する輸入停止措置は容認できず、撤回されなければならないとした。

また、今回の措置は、サプライチェーンを強靭(きょうじん)化することや、中国の経済的威圧から米国とその貿易相手国を保障することにより、経済安全保障を守らねばならないことを再認識させたとした上で、中国の経済的威圧に対抗するため「米国による日本産水産物の調達を拡大する措置を検討し、日本と協力して中国以外の国での水産物加工能力を強化する選択肢を見つけるとともに、中国からの水産物の検査を実施するべく、米国国土安全保障省税関・国境取締局の能力を強化しなければならない」と主張した。加えて、中国の標的となっている国や企業を支援し、経済的威圧を行う中国の責任を問うための新たなツールの創設が盛り込まれた法案を議会が可決することが必要不可欠で、行政などと協力してこれらの取り組みを推進していくとした。

なお、米国政府も、アントニー・ブリンケン国務長官が日本のALPS処理水放出を評価するコメントを発したほか(2023年8月28日記事参照)、ラーム・エマニュエル駐日米国大使が福島県相馬市を訪れた際に中国の日本産水産物輸入停止措置を非難する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発するなど、日本の立場を支持するスタンスを示している。

(加藤翔一)

(米国、中国、日本)

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