米国務省、日本のALPS処理水放出を評価するコメントを発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年08月28日

米国務省は8月25日、福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。声明では、東日本大震災からの復興に向けた取り組みをたたえた上で、日本は震災以降、公正かつ透明性を保って科学者やインド太平洋地域のパートナー、国際原子力機関(IAEA)と積極的に連携しながら、ALPS処理水の放出について責任をもって管理しようと努めてきたと評価した。

声明では、IAEAは日本の放出プロセスは安全であり、国際的に認められた原子力安全基準と一致していると結論付けたとも述べ、その上で米国は、日本の安全で透明性のある科学に基づいたプロセスに満足しているとした。最後には、日本の透明性のあるプロセスが継続されることと、IAEAなどの関与を歓迎するとも述べた。

なお、本声明に先立ち、アントニー・ブリンケン国務長官は8月15日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、福島原発からのALPS処理水放出について懸念しているかとの記者の質問に対し、「安全であり、IAEAの原子力安全基準を含む国際基準に従っている日本の計画に満足している。日本は計画に関してIAEAと緊密かつ積極的に連携し、科学に基づいた透明性のあるプロセスを実施しており、われわれは満足している」と回答した。今回の声明では、こうした見解があらためて確認された。

このほか、米国食品医薬品局(FDA)は、福島第1原子力発電所の事故に係る水産物などの安全性に関して特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設しており、Q&A形式で情報発信をしている。この中では、(1)処理水が排出されたとしてもトリチウムのレベルは非常に低く、安全性には影響を与えないこと、(2)状況の監視のために日本政府などと連携していること、(3)放射性物質を検出するために日本からの輸入水産物や太平洋沿岸の国産水産物などへの検査を実施していること、(4)2021年7月から行われてきた51のサンプル調査において検出可能なセシウムは含まれていないこと、など米国政府が安全性を適切に確認していることが記載されている(注)。

(注)執筆時点では8月25日が最終更新日。

(加藤翔一)

(米国)

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