米USTR、301条対中追加関税の適用除外を2023年末まで延長

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年09月07日

米国通商代表部(USTR)は9月6日、1974年通商法301条に基づき中国原産の輸入品に課している追加関税(301条関税)について、適用除外対象となっている429品目の除外期限を2023年9月30日から同年12月31日まで延長すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

USTRは、トランプ前政権時の2018年7月以降、中国からの3,500億ドル超相当の輸入に対し最大25%の301条関税を課す一方、同関税の適用除外手続きを設け、一部について除外を認めてきた。適用除外は累計2,200品目超に与えられたのに対し、延長された品目数は限定的で、延長品目の大半が2020年12月末で期限切れを迎えた。今回、除外期限が延長された429品目のうち352品目は、2023年9月末まで延長が認められていたものとなる(2022年12月19日記事参照)。残る77品目は、新型コロナウイルス対策を理由に延長が認められてきた医療関連製品で、同じく2023年9月末まで延長が認められていた(2023年5月15日記事参照)。

USTRは2022年10月以降、301条関税全体の見直しに着手しており、その完了までは適用除外措置も含めた変更は行わない意向とみられている。今回の延長の理由もこれまでどおり、見直しのさらなる検討を行うためとしている。一方で、見直しを前進させるためには、中国との通商協議が進展する必要がある。キャサリン・タイUSTR代表は以前から、追加関税は中国との協議における重要な手段と位置付けており、無条件での撤廃には否定的な見解を示してきた。2023年の春までは、中国による偵察用とみられる気球が米国上空を通過した問題や、台湾の蔡英文総統が米国を訪問したことなどを受けて、米中の緊張は高まっていたが、5月以降は閣僚レベルでの会談機会が増えている。今回設定した除外期限までに、追加関税にかかる協議で進展がみられるか引き続き注目される。

(磯部真一)

(米国、中国)

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