G20サミットでアフリカ連合(AU)の常任メンバー入りに合意

(アフリカ、G20、インド、ナイジェリア、日本)

調査部中東アフリカ課

2023年09月15日

インドで9910日に開催されたG20サミット(2023年9月13日記事参照)では、アフリカ連合(AU外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を常任メンバーとして迎えることに合意した。日本の外務省によると、岸田文雄首相もAUの加盟に支持を表明していた。

今回のG20には、アフリカからは既に正式なメンバーの南アフリカ共和国に加え、2023年のAU議長国のコモロ、エジプト、モーリシャス、ナイジェリアが招待国として参加した。なお、ナイジェリア政府がG20の常任メンバーへの参加の意向を示していたが、今回は見送られた。

AUは、前身のアフリカ統一機構が発展するかたちで2002年に発足し、エチオピアのアディスアベバに本部を置いている。現在、アフリカ55カ国・地域によって構成されている。国連によると、域内人口は2022年時点で約14億人、2050年には約25億人となって世界人口の約25%を占めるまで増加すると予測される。今後、人口増加を背景に国際社会での発言力も拡大すると見込まれる。

首脳宣言では工業化や食糧の支援にも言及

G20の全メンバーで今回合意した「G20ニューデリー首脳宣言」では、AUが常任メンバーとなることに加えて、G20AUの関係強化と、アフリカの工業化に対する支援を表明した。アフリカの包括的成長や経済統合、平和と安定などを軸として、AUが目標として掲げる「アジェンダ2063」への支援も表明した。

また、穀物など食糧を輸入に依存するアフリカ諸国などの関心が高い、ロシアやウクライナからの穀物や食料品などの安全な輸送確保に関する「黒海イニシアチブ」の必要性も示した。

岸田首相もサミットで食糧問題に関し、G7広島サミットで招待国も交えて具体的な行動計画をとりまとめた「農業市場情報システム(AMIS)」や、インドが主導する「雑穀とその他古代穀物に関する国際研究イニシアチブ(MAHARISHI)」などの重要性を紹介し、持続可能で強靱(きょうじん)な農業・食糧システムの構築に取り組むと述べた。

(井澤壌士)

(アフリカ、G20、インド、ナイジェリア、日本)

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