インド、議長国としてG20サミットを開催
(インド、日本、世界)
ニューデリー発
2023年09月13日
インド政府は9月9~10日、議長国としてG20サミットを首都ニューデリーで開催した。サミットには中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領を除くG20メンバーの各国首脳が参加。開催前にはG20各国首脳による共同声明の発出を危ぶむ声もあったが、インドのナレンドラ・モディ首相は、全てのメンバーが合意に達したとして、サミット初日の9日に「G20ニューデリー首脳宣言」を発出した。
首脳宣言では、最大の懸念材料だったロシアによるウクライナ侵攻を巡ってロシアを名指しはせず、武力による領土取得、核兵器の使用やその威嚇は許されないという原則論をうたう表現にとどまった。他方、ロシアやウクライナからの穀物や食料品などの安全な輸送確保に関しては、関係国に確実な実施を求めた。加えて、宣言には、アフリカ連合(AU)をEUと同様にG20の常任メンバーとして迎えることや、2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取組強化を図ることなども盛り込んだ。
モディ首相は9日、G20サミットの首脳宣言が発出できたことについて、関係国の協力に感謝すると自身のX(旧ツイッター)アカウントに投稿した。最大野党のインド国民会議派(INC)代表のシャーシー・タロール氏も、今回の首脳宣言を「インドにとって外交上の勝利」と評価したと報じられている(「ミント」紙9月11日)。また、国連は9日、宣言でSDGsの取り組みを加速させるとした点を歓迎する声明を発表した。
なお、G20サミットに出席した岸田文雄首相は9日、モディ首相と首脳会談を行った。会談でモディ首相はこれまでの日本の協力に対する謝意を述べ、岸田首相もモディ首相のG7広島サミットへの参加にあらためて感謝の意を伝えた。また、岸田首相は、8月に開始した東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に関する日本の立場を説明。2022年3月に両者が合意した今後5年間の日本からの対インド官民投融資5兆円目標(2022年3月22日記事参照)についても、達成に向けてインドの投資環境改善への協力を要請した。
(広木拓)
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