通貨金融庁による民間予測集計、2023年経済成長率さらに低下
(シンガポール)
シンガポール発
2023年09月07日
シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は9月6日、民間のエコノミストとアナリストが回答したフォーキャスターズ調査(Survey of Professional Forecasters)の結果を発表した(調査開始:8月15日、回答数:22人)。2023年のシンガポールの実質GDP成長率(経済成長率)予測の中央値は前年比1.0%と、前回調査(6月発表、2023年6月15日記事参照)の1.4%から低下した。予測値の低下は前々回調査(3月発表、2023年3月9日記事参照)の1.9%からは2回連続。
経済活動別では、「卸売・小売業」(前回:0.8%増→今回:1.3%増)以外は、前回調査から上昇幅が縮小、もしくは減少幅が拡大した(製造業:1.3%減→4.4%減、金融・保険業:1.3%増→0.7%増、建設業:7.0%増→6.8%増、宿泊・飲食サービス業:10.0%増→8.8%増)。
シンガポール経済に対する下振れリスクについては、「海外経済の成長減速」(前回61.1%→今回:68.8%)を挙げる割合が最も高かった。上位3つにはそのほか、「インフレーション圧力」(55.6%→50.0%)、「中国(の成長減速)」(38.9%→43.8%)が続いた。「海外経済の成長減速」と「中国」と回答した割合が上昇した一方で、「インフレーション圧力」と回答した割合が低下した。経済指標の予測のうち、MASが政策判断で重視する宿泊費と自家用道路交通費を除いたMASコアインフレーションの2023年の中央値(前年比4.1%)は前回調査から変化がなかったが、消費者物価指数(CPI)上昇率(4.7%)は前回調査(5.0%)から低下した。
上振れリスクについては、「(予測を上回る)海外経済の成長」(前回:41.2%→今回:60.0%)を挙げた割合が最も高かった。上位3つにはそのほか、「中国(のより力強い成長)」(70.6%→46.7%)と「〔人工知能(AI)関連の成長といった〕テックサイクル(の回復)」(41.2%→33.3%)が挙がった。「中国」と「テックサイクル」を挙げる割合が前回調査から低下した一方で、「海外経済の成長」と回答する割合が拡大した。
(朝倉啓介)
(シンガポール)
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