米国土安全保障省、ウイグル強制労働防止法の輸入禁止対象事業体の改定手順を発表

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年08月04日

米国国土安全保障省(DHS)は83日、6月に施行されたウイグル強制労働防止法(UFLPA、注1)に基づく輸入禁止対象の事業体をまとめた「UFLPAエンティティー・リスト」について、今後の改定手順を発表した。正式には8月4日付の官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますする。官報の付属書には、UFLPAの執行戦略の一部として、6月に公表されたリストも含まれている(2022年6月20日記事参照)。

米国では、UFLPAによって中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁じている(2022年6月21日記事参照)。新疆ウイグル自治区で生産された物品だけでなく、UFLPAエンティティー・リストに指定された事業体が生産に関与した製品も輸入禁止の対象となる。具体的には、米国政府の強制労働執行タスクフォース(FLETF)が次の4種類の対象事業体を特定し、リストをDHSのウェブページで公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

1)新疆ウイグル自治区で、強制労働を伴う物品、製品、用品、商品の全部または一部を採掘、生産、製造する事業体

2)新疆ウイグル自治区政府と協力して、強制労働者、ウイグル族、カザフ族、キルギス族、その他の迫害された集団のメンバーを募集、輸送、移送、収容、受け入れる事業体

3) (1)または(2)の事業体が全部または一部を採掘、生産、製造した製品を中国から米国に輸出した事業体

4)新疆ウイグル自治区、または強制労働を使用する中国政府の労働プログラムの目的で新疆ウイグル自治区政府もしくは新疆生産建設兵団(XPCC)と協力する者から材料を調達する施設、事業体

DHSは現時点で、これらの基準に該当する計20の事業体(注2)を特定している。DHSは今回の官報で、UFLPAエンティティー・リストの改定手順について、FLETFを構成する各機関(注3)が事業体の追加・削除・修正を勧告できると記した。追加に関する勧告がFLETF議長に提出された場合、FLETFメンバーが審議し、過半数の賛成により承認する。リストが改定された際には、DHSのウェブページと官報で公表する予定だ。一方、リストに指定されている事業体は、FLETFに対しリストからの削除を要請することが可能となっている。削除を求める場合、その根拠となる情報を提供する必要がある。削除の決定にも、FLETFメンバーの過半数の賛成が要る。

(注1)ウイグル強制労働防止法の最新ニュース、法令・ガイダンスなどの情報については、ジェトロのウイグル強制労働防止法特集ページも参照。

(注2UFLPAエンティティー・リストに最初に指定された事業体は、米国税関・国境警備局(CBP)の違反商品保留命令(WRO外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます対象事業体と商務省産業安全保障局(BIS)の輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト掲載事業体で構成されている。

(注3)議長を務めるDHSのほか、米国通商代表部(USTR)、労働省、国務省、司法省、財務省、商務省。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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