モディ首相、ASEAN・インドサミットに出席

(インド、ASEAN)

ニューデリー発

2023年09月08日

インドのナレンドラ・モディ首相は9月7日、インドネシアの首都ジャカルタで開かれたASEAN・インドサミットに出席した。首相は開会式で「21世紀はアジアの世紀」と述べ、「自由で開かれたインド太平洋」の推進やグローバルサウスの存在感を高めていくことがインドとASEANにとって共通課題との認識を示した。また「包括的戦略パートナーシップ」の関係にある両者間の協力強化のため、東南アジアからインド、西アジア、欧州に至るマルチモーダルコネクティビティーと経済回廊の構築、インドによる公的デジタルインフラ(インディア・スタック)のASEAN諸国との共有など、12項目にわたる提案を行った。

ASEANとインドは今回のサミットに先立ち、8月21日にインドネシアのスマランで開催されたASEAN・インド経済相会合で、インド・ASEAN間の物品貿易協定(AITIGA)を見直す協議に入ることで合意している。今後は四半期に1度の頻度で協議を行い、2025年の合意を目指す予定だ。モディ首相も同サミットで、AITIGA改定に向けた協議を滞りなく完了させる必要があると強調した。

AITIGAは2010年1月の発効から13年以上が経過しており、日系企業を含めた多くの企業が活用している。2022年度(2022年4月~2023年3月)のインド・ASEAN間の貿易総額は、インド側の輸出が440億ドル、輸入が876億ドルと、2016年度比でそれぞれ1.4倍、2.2倍になった。インドの対ASEAN貿易赤字が拡大していることを受け、インド政府が是正を図るために、AITIGA見直しに向けASEANに働きかけていた。

近年、インド政府は先進国との新規の自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を積極的に推進する一方、既存の一部FTA見直しに意欲的だ。インド経済紙「エコノミック・タイムズ」(7月28日)は、ピユシュ・ゴヤル商工相の主張として、ASEANのほか日本や韓国との既存の貿易協定もインドの貿易赤字拡大の要因になっているとの見解を報じている。なお、韓国との包括的経済連携協定(CEPA)に関しては、改定交渉を再開することで両国は2022年1月に合意している(2022年1月18日記事参照)。

(サンディープ・シン、広木拓)

(インド、ASEAN)

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