EUの食品輸入規制撤廃を受け、福島県産品のプロモーション実施
(EU)
ブリュッセル発
2023年09月08日
EU日本政府代表部は9月5日、福島県と協力し、欧州委員会関係者や各国外交官などに向け、福島県産水産物や果実などの日本産食品を紹介するイベントを開催した。EUは2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、日本産食品に輸入規制を適用してきたが、2年ごとの見直しで段階的に削減し、8月3日に全廃した(2023年7月18日記事参照)。イベントは、規制撤廃を機にEU向け輸出のさらなる拡大を図るため開催された。
福島県産の日本酒や桃ジュースのほか、規制撤廃により放射性物質検査証明書の提出が不要となった特産の「あんぽ柿」を用いた和菓子や、福島で水揚げされたカツオなどの水産加工品が提供された。スパークリング純米吟醸やあんぽ柿の試食を通じて日本産食品に関心を持ち、実際に日本を訪れて試してみたいと話す参加者もいた。
EU日本政府代表部の正木靖大使は冒頭のあいさつで、これまでも現地メディアなどを通じ発信しているとおり、福島第1原発のALPS処理水の海洋放出は科学的根拠に基づくもので、国際原子力機関(IAEA)の包括的評価に基づき、関連する国際安全基準に合致していると述べ、福島県産品をはじめ日本食のさらなる普及に期待を寄せた。
農林水産省によると、2022年の日本からEUへの農林水産物・食品の輸出額は前年比8.2%増の680億円で、全体の5.1%を占める。輸出額上位品目は、アルコール飲料(132億円)、ホタテ貝(73億円)、牛肉(41億円)。
同省は同日付で、農林水産物・食品の輸出支援プラットフォームのブリュッセル拠点も設置。2022年5月から設置されているパリでの活動に加え、今後も規制情報の収集・発信などの活動も強化していく。
(薮中愛子)
(EU)
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