モスクワで新規交通インフラ開業ラッシュ
(ロシア)
調査部欧州課
2023年09月26日
ロシアのモスクワ市で、交通インフラの開業ラッシュとなっている。モスクワ地下鉄は9月6日、既存路線のソンツェボ線を延伸し、市内中心部の新興オフィスビル街モスクワ・シティーに隣接しているデロボイ・ツェントル駅からブヌコボ空港への直通運転を開始した。これまで同線は、2駅手前のラスカゾフカ駅までの運行だった。市内と空港を結ぶ地下鉄はロシア初。
デロボイ・ツェントル駅からブヌコボ空港駅までの所要時間は約40分。同空港までは、主要鉄道駅であるキエフ駅から30分程度で到着する直通列車アエロエクスプレスが運行しているが、本数が1時間に1本と限定的だ。より本数が多い地下鉄の開業で、同空港利用客の利便性向上が期待される。
9月9日にはモスクワ中央通貫鉄道(MTsD)で、2022年8月の3号線(2023年8月24日記事参照)に続き、4号線(D4)が開通した。運行区間は、モスクワ市東部郊外のジェレズノドロジナヤと同市西部郊外のアプレレフカ間の86キロ。
D4は、モスクワ市内の主要鉄道駅7つを結ぶほか(注1)、17の駅でモスクワ地下鉄、モスクワ中央環状鉄道(MTsK)、他のMTsDなどと接続する。これまでMTsDの開業は、市内中心部の地下鉄の混雑緩和に効果があった。D4においても同様で、モスクワ市交通局は、開業からチカロフスカヤ、キエフスカヤ、ノボコシノなどの駅で地下鉄利用者数が7%減少したとしている(インターファクス通信9月15日)。
道路では、モスクワ市内を通貫するモスクワ高速通貫自動車道(MSD)が9月9日に拡張された。MSDは2011年から供用が順次開始され(注2)、2022年9月に北区間が先行開業していた。今回、北区間がモスクワ市からニジニ・ノブゴロドを経由しカザン方面へ伸びる高速道路M-12に接続したほか、モスクワ市東部のエンスジアストフ街道付近から分岐する南区間が、モスクワ市南部からトゥーラ、オリョールなどロシア南部に伸びる高速道路M-2まで開通した。これにより、モスクワを結節点にサンクトペテルブルク、ニジニ・ノブゴロドとモスクワ南方の主要都市が高速道路で直結した。
(注1)クルスク駅、カザン駅、ヤロスラブリ駅、レニングラード駅、リガ駅(D4開通時は改装工事のため一時閉鎖中)、サビョロボ駅、ベラルーシ駅。D4と直結または隣接しないのはキエフ駅、パベレツク駅のみ。
(注2)元々は複数の都市高速区間として建設された。
(欧州課)
(ロシア)
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